孫社長にたたきこまれた数値化仕事術【5つの数字が重要です】

BOOK

「数字で語れ」「数字だけで語るな」「誰でもわかるようにしろ」。

ほぼ矛盾ともいえるような言葉が飛び交う職場。

「数字にするっていったい何なんだ」
「どうしたら数字をビジネスに活用できるのか」
「そもそもビジネスに有益な数字ってなんだ」
こういった疑問に本書は答えています。

 

『孫社長にたたきこまれた数値化仕事術』からの3つの教訓
① 「どうだったか」ではなく「どうするか」を話せ
② 会社経営の5つの数字
③ ソフトバンクの3次元経営

① 「どうだったか」ではなく「どうするか」を話せ

数値化の目的は、「どうだったか」を明らかにすることではなく、「これからどうするか」を明らかにすることです。
要は、「過去」ではなく、「未来」の話をするための手段が数値化なのです。

僕の働いている会社では、キャンペーン終了時に「キャンペーンの結果はどうだったか?」を示すレポートを提出します。
そこでは多くのデータを提示しますが、当然、データをグラフ化して今回のキャンペーンはよかった/悪かったという報告のみでは、なんの意味もありません。データ自体に意味はないのです。

そこで重要なのが「データ」を「インフォメーション(情報)」「ナレッジ(知識)」にすることです。

インフォメーション(情報)とは、「データを整理し、解釈や意味を持たせたもの」です。
「インフォメーション(情報)」は、「そのデータはどういう意味か?」に答えることができます
 例えば「日本には一億三千万人が住んでいる」ことはただのデータでしかありません。
これを「日本の総人口は一億三千万である。この数字は近年横ばいであり、日本は人口減少の局面を迎えている。」と言えて初めて、「インフォメーション(情報)」になります。

また、「ナレッジ(知識)」とは、「インフォメーションを体系化し、まとめたもの」であり、「そのデータを踏まえた上で、我々はこれからどうするべきか?」に答えられるものです。

例えば、「このまま人口減少が続けば、2060年には総人口が9000万人をわりこみ、高齢化率は40%に達する。よって、少数の現役世代が多数のリタイヤ世代を支えることが可能な社会保険制度を作らないといけない。」などと言えれば、「情報」は「インフォメーション(情報)」になり、さらに「ナレッジ(知識)」になっているといえます。

「データ」だけでは意味がなく、「インフォメーション(情報)」だけでも不十分、「ナレッジ(知識)」まで昇華させて初めて意味ある話になる、ということです。

よく「事実」「解釈」「示唆」というフレームワークをたまに見かけますが、それに近いと思っています。
大切なことは、データをそのもの・データの解釈・これからどうするかの示唆がセットになっていることです。

 

② 会社経営の5つの数字

 現代ビジネスでは、最も大切な5つの数字があり、それが下記の項目です。

① 顧客数
顧客単価
③ 残存期間(顧客でいてくれる期間)
④ 顧客獲得コスト
⑤ 顧客維持コスト

 会社の経営は、上記5つの数字をコントロールすることで成り立っています。
例えば営業利益は、次の数式で表すことが可能です。

「(顧客数×顧客単価×残存期間)-(顧客獲得コスト+顧客維持コスト)

 よって、会社の利益最大にするためには、数字を次のようにコントロールする必要があります。

☑「顧客数」「顧客単価」を上げる
☑「残存期間」を長くする
☑「顧客獲得コスト」「顧客維持コスト」を下げる

 会社経営の目的は、上記5つの数字を上げたり下げたりしながら、利益を最大化していくことです。

 個人的には、「今自分がやろうとしている施策は上記5つの数字の内、どこにどのようなインパクトを与えるものか」ということを常に考える必要があると思います。
 なぜなら、上記5つが会社経営に重要な数字だとすると、そこを理解しないまま施策を進める・もしくは上記数字に関係のない施策を進めても、企業にとってプラスな結果は残せないからです。
 5つの数字を常に意識しすること、その数字にどうやってどのようなインパクトを与えようとしているかを意識することが、企業・個人の実績に繋がるのです。

 

③ ソフトバンクの3次元経営

 この話は上記の5つの数字をもとにします。

 ソフトバンクでは、上記したように、常にこの5つの数字を意識し、それぞれにフェーズに分けて経営を行っています。
 本書ではそれを、「3次元経営」と呼んでいます。具体的なSTEPは以下の通りです。

①顧客数を増やす
②顧客単価を上げる
③顧客獲得コストを上げる
④残存期間を延ばす

 第1STEPでは「顧客数」増加に注力し、一気にNo1になります。
その理由は2つです。

(1) 顧客数を増やせば増やすほど、製品やサービスの単価を下げられる
(2)圧倒的No1になれば、競合がその地位をひっくり返すのが事実情ほぼ不可能になる

 後者の話は、「ネットワーク外部性」という概念と関係します。
 「ネットワーク外部性」とは、同じ材を共有する人が増えれば増えるほど、その財・サービスから得られる便益が増加する現象」のことを指します。

 また、「ランチェスター戦略」も関係します。
 具体的には、「市場シェアの73.9%を確保すればすべての競合他社を足しても26.1%にしかならず約3倍の差をつけることができて、圧倒的な強者としてふるまうことができる」という、「独り勝ち現象」のことです。

 ソフトバンクでは、まず「顧客数」を圧倒的に増やし優位性を確立する戦略を採択している、ということです。

 ただ、「顧客数」を増やす前に、顧客は3つに分かれていることを知る必要があります。

①潜在顧客(知ってはいるが利用はしていない)
②試用顧客(無料で試している)
③契約顧客(お金を払って利用している

 また、それぞれの顧客に対する戦略も理解しておきましょう。

☑潜在顧客(知ってはいるが利用はしていない)
  あらゆる手段を活用してターゲット層の認知を獲得する

☑試用顧客(無料で試している)
  顧客の心理的ハードル低下のため、ノーコスト・ノーリスクで商品やサービスを使ってもらう

☑契約顧客(お金を払って利用している)
  歩留まり管理で、試用顧客を確実に契約顧客までもっていく

 いかがでしょうか?
 本記事ではSTEP1までの紹介にとどめておくので、続きが気になる方は読んでみて下さい。

 表側だけ見ると、派手な経営でのし上がってきた孫正義という風な印象でしたが、いざそのプロセスや中身を見てみると、非常に緻密に計算された戦略を作っていることが分かります。その緻密な戦略を作りきり、実行しきることが孫さんの強さなのかもしれません。



 また、こういった「数値化の仕事」を面白いと感じた方はマーケターや経営企画の仕事をやってみると面白いと思います。
 僕自身はマーケターをやっていて、この「数値化仕事術」には可能性と面白さを感じています。
マーケターの仕事をこちらの記事で紹介しているので気になる方はぜひ読んでみてください。

 僕自身、広告代理店で働きながら月10~15冊程度、こういったビジネス本を読んでいます。
またただ読むだけではなく「どうやったら記憶の定着するか?」という部分にもこだわり手法も確立したので、よかったら見てみてください。大切なのは読書中ではなく、読書の「前後」です

コメント

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