ストレス発散より大切!子どものストレスコーピングを育む方法

非認知能力
    • 子どもにとってストレスはなんで悪いの?
    • 子どものストレス発散方法は?
    • 子どものストレス対処能力を育むには?

本記事ではこのような疑問に答えます。

記事を書いている僕は、非認知能力に関する教育サービスの開発(3年)や、中高生の非認知能力を伸ばすキャリア・お金の教育(プロボノ)などをしています。

 

過剰なストレスは子どもの成長を阻害する

まず、過剰なストレスが子どもに与える悪影響について。

『私たちは子供に何ができるのか – 非認知能力を育み、格差に挑む』では、子どもの成長を阻害する3つの要因が挙げられています。

  1. ストレス
  2. 健康に関する問題
  3. 満たされない知的欲求
    *図書館・博物館など文化施設に接しない、親の語彙力が乏しく豊富な言葉に触れないなど

中でも、子どもの成長を阻害する一番の要因はストレスだそう。

具体的には、幼少期に過剰なストレスを感じると、小さな失敗でも挫折を感じやすくなったり、粘り強さ・レジリエンス・実行機能などが育ちにくくなったりするのです。

*粘り強さ・レジリエンスなどの非認知能力についてはこちらで詳しく解説しています
子供の将来を左右する「非認知能力」とは何か?【脱・学力偏重】

かつ、記事執筆時点の2022年はコロナ禍。
子どもたちはコロナ以前よりもストレスを感じています。

実際、「コロナ×こどもアンケート第2回調査」(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)では、運動機会減少、スクリーンタイム増加などコロナに関連したストレス症状が多くの子どもに現れていることを指摘しています。

そんなコロナ禍だからこそ、親子でストレスに対処したり、子どものストレスに向き合う力を伸ばしたりする必要があるでしょう。

 

子どもがストレスを感じた時の親の対応が重要

親の対応・反応は子どものストレスに影響します。
*『私たちは子供に何ができるのか – 非認知能力を育み、格差に挑む』

子どもが動揺している時に、親が厳しい反応を示す、子どもの予測のつかない行動をとるなどは典型的な悪い対応。

そのような対応が続くと、子どもの感情処理能力や緊張する場面への対応力が身につかなくなります。

反対に、子どもがストレスに対処することを助ける行動は短期的にも長期的にも、子どもにとってプラス

具体的には、子どもが怯えたり癇癪を起こしたりしたあとに、落ち着きを取り戻すことを手伝ってあげると、子どものストレス対処能力が磨かれていきます。

ここで一つ、親子のラットを使った実験を紹介しましょう。

この実験では、子ラットにストレスを感じるような体験をさせます。

そして、その子ラットに対して親ラットが何もしないグループと、親ラットがリッキング&グルーミングという温かい行為を行うグループに分類しました。
*リッキングは体をなめることで、グルーミングは毛繕いのこと

結果、リッキング&グルーミングをされた子ラットは、ストレス処理能力が成長していったそう。

それだけではなく、好奇心が強く穏やか、かつ精神的に安定していて、自発的にさまざまな環境に飛び込もうとしていたのです。

ただ、人間の大人は親ラットと違って日々さまざまなストレスに晒されています。
*親ラットにも苦労があると思いますが一旦スルーします

そんな人間社会で、親が子どもに対して温かい反応をするために求められるのが、親自身が日頃からストレスマネジメントを行い、適度なストレス状態でいること。

ストレスフルな状態だと、正しい情報を知っていたとしてもそれを子どもに対して正しく実行することは難しいですよね?

こちらの記事で、「ジャーナリング」という手法を中心に親のストレスを軽減する方法を紹介しているので、ぜひご覧ください。
【対策】ジャーナリングで親の自己肯定感を高める

 

具体的な2つのストレス対処方法

さて、上記の方法は根本的な対処法でした。

ただ世の中には、「今すぐ子どものストレスを発散させてあげたい!」と考える方も多いでしょう。

そんな方のために、国立成育医療研究センターが提唱している手法の中から有効だと思われる2つの方法を紹介します。
*「新型コロナウイルスと上手に付き合っていくために 親子でできるストレスコーピング編」参照

  • 方法① 子どもの気持ちを聴く
  • 方法② 親子でできるアクティビティを取り入れる

 

方法①子どもの気持ちを聴く

ストレスは一人で抱え込むと増幅していきます。

特にストレス対処能力が低い幼少期なら尚更。

だからこそ、子どもが自分の感情を親に伝えられるよう、「どんな気持ちを抱いてもOK」というメッセージを積極的に伝えていきましょう。

具体的には、子どもが発したどんな気持ちも否定せず受け止めることが重要。

そうか、〇〇が嫌だったんだね。」「なるほど、そう思ったんだね。」など同意を表すキーワードを用いて子どもの気持ちを受け止めてあげてください。

また、子どもが感情を伝えてくれたら、「ありがとう」「よく言えたね」「助かるよ」など感謝の言葉を伝えることも忘れないようにしましょう。

 

②親子でできるアクティビティを取り入れる

体を動かすことはストレス発散につながります

実際、厚生労働省がマイナス感情の発散や運動不足解消のために推奨しているのは、1日20分以上の運動(厚生労働省HP)。

また、国立成育医療研究センターでは、親子でできる運動としてラジオ体操ストレッチなど簡単なものをおすすめしています。

親子で一緒にアクティビティを行うことで、ストレス発散だけではなく、コミュニケーションが取れたり、子どもの自己表現が磨かれたりというメリットもあるでしょう。

 

子どものストレスコーピングを育てよう

ここまでは、子どもがストレスを感じた時に親が介入してストレスを発散させる方法を紹介してきました。

ただ、現代社会では子どもがストレスを感じるたびに対処していたらキリがないですよね?

そこで子供たちに求められるのが、子ども自身がストレスに対処する能力を身につけること。

具体的には、「ストレスコーピング」と呼ばれるストレスマネジメントの手法です。

 

ストレスコーピングとは?

ストレスコーピングは、ストレスそのものにどう対処するかの手法で、大きく2つに分類されます。

それが、「情動焦点型のストレスコーピング」と「問題焦点型のストレスコーピング」。

情動焦点型のストレスコーピングは、発生したストレスを発散させ、気持ちを楽にする方法

具体的には、何かストレスを感じた際に好きな漫画を読んだり、自然が多い場所に出かけたりなどが情動焦点型のストレスコーピングに該当します。

この方法は過去に発生したストレスに対処する際に役に立ちます。

過去に発生した、ということはその事実があったこと自体は変更できないので、その出来事で感じたストレスを軽減する方針が有効なのです。

 

一方、問題焦点型のストレスコーピングは、ストレスの根本原因に対処する方法

例えば、子どもが1ヶ月後に受ける体力テストにストレスを感じていたとしましょう。

その際、体力テストで良好な成績を残すためにランニングしたり、公園で鉄棒の練習をしたり、といった対処が問題焦点型。

この対応は、これから発生するストレスに対して有効です。

テスト前になぜか部屋を綺麗にする、などの対応だと結果的にこれから訪れる出来事でストレスを感じることになるので、そもそもの対応が必要という訳です。

 

ストレスコーピングを身につけるには?

そんなストレスコーピングですが、情動焦点型と問題焦点型で身につける方法が異なります。

情動焦点型のストレスコーピングを身につけるには、子どもにさまざまな種類のストレス発散方法を伝えることが重要。

大人のあなたは経験があると思いますが、ストレス発散方法を少ししか知らないと、いずれその方法ではストレスが発散しにくくなってくるはずです。

だからこそ、最初は親が一緒に付き添いながら、運動する、自然を見にいく、感情を言葉にするなどさまざまなストレス発散方法を試していく必要があるでしょう。

 

一方で問題焦点型のストレスコーピングを身につけるには、問題解決能力ロジカルシンキングといった素養が求められます。

とはいえ、子どもにいきなりそのような能力を求めるのは酷。

まずは、親が子どもの悩みを傾聴するところから始めましょう。

傾聴によって、「問題の正確な把握」から始めることの大切さを子どもに伝えるのです。

そして、悩みを傾聴しながら、子どもと一緒に問題解決の方法を考えてあげてください。

ポイントとしては、ノートなどを使って問題解決までの道筋を可視化してあげること。

子どもは抽象的な概念の理解が苦手なので、言葉やイラストで可視化することで理解しやすくなります。

また、親がひたすら子どもの問題を解決してしまうのはNG。

○○はどうしたら良いと思う?」「○○はどうしたい?」など子どもの意見や意思を聞いてあげてください。

その際、間違っても「それは違う」などと否定せず、「いいね」「なるほどね」と肯定してあげましょう。

まとめ:親子でストレスマネジメントをしよう!

いかがだったでしょうか?

過剰なストレスが子どもに与える影響、ストレスへの対処方法、ストレスコーピングなどについてご理解いただけたでしょうか?

途中で記したように、子どもだけではなくあなた自身のストレスマネジメントも重要です。

ぜひ、自分の心もいたわってあげてくださいね!

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