子どもの非認知能力を育てる5つの方法を紹介【今日から実践可能】

非認知能力

・最近よく聞く「非認知能力」ってなんだろう?
・子供の「非認知能力」はどうやって育てたらいいんだろう?
・家庭でできる具体的な方法が知りたい!

本記事では、このような悩みや疑問を解決します。

記事を書いている僕は、非認知能力に関する教育サービスの開発を3年ほどしたり、プロボノとして中高生の非認知能力を伸ばすキャリア教育をしたりしています。

また本記事は『「非認知能力」の育て方〜心の強い幸せな子になる0〜10歳の家庭教育〜』や非認知能力に関する論文(記事下部の参照情報に記載)をベースに書いています。

 

「非認知能力」は数値化できないが人生を豊かにする能力

まずは非認知能力についての簡単な説明です。

「非認知能力」は、IQなど数字で表すことができる能力(認知能力)と対をなす概念で、「数値化、指標化することはできないけれど、生きていく上で必要な能力群」のことです。

Gutman&Schoon(2013)による非認知能力についてのメタ分析、及びターンアランドフォーチルドレンが提唱した「学習のための積み木」では、下記の能力が非認知能力に該当すると言われています。

  • ストレス管理能力
  • アタッチメント
  • セルフコントロール(自制心)
  • 自己効力感
  • 内発的動機付け
  • 最後までやり切る力(グリット)
  • 自分自身ついて客観的に捉える力(メタ認知)
  • リーダーシップ
  • コミュニケーション力
  • 困難な状況から立ち直る心の強さ(レジリエンス)
  • 困難な状況に冷静かつ客観的に対処をする力(コーピング)
  • 創造性

非認知能力の詳細や、なぜ非認知能力が子供にとって重要なのか?と言う点についてはこちらの記事で取り上げているので合わせてご覧ください。

 

子供の「非認知能力」を伸ばす5つの原則と具体的な方法

次に、「どうすれば子供の非認知能力を伸ばすことができるのか?」についての説明です。

本記事では網羅的に、合計5つの原則と具体的な方法を紹介します。

 

ルールをつくって「自制心」を育む

子供の非認知能力は、日常生活のあらゆる場面で育まれます。

ただし、その土台になることが「ルールを守ること」です。

確かに、子供の自己肯定感を育むためにも自由や自主性を尊重することは大切ですが、それは「何でもやって良い」ということではありません。

すべきことと、やってはいけないことの間には、明確な「線引き」があるのです。

そういった、社会の中に存在する「線引き」を理解し社会性を身に付けていくことで初めて、これから身に付けていく複雑な非認知能力の各スキルが効果を発揮するのです。

訓練のない個性は野生に過ぎない」という高田好胤さん(薬師寺の元神主、法相宗)の言葉がありますが、「線引き」を理解できないとどんなに能力を伸ばしてもその先の成果は小さなものになってしまうでしょう。

家庭でルールを作ろう

子供の「線引き理解力」「自制心」を育むために、家庭でルールをつくってみましょう!

『「非認知能力」の育て方』の著者であるボーク重子さんの家庭では3種類のルールを設定していたそうです。

  • 基本ルール:いつ、どこにいても、誰といても守るべき基本的な原則(3,4つ程度)
  • Doルール:「やるべきこと」のリスト(10個以下)
  • Don’tルール:「やってはいけないこと」のリスト(Doよりも少ない数)

ルールをつくる際の4つのポイント

またルールをつくる際のポイントも紹介しておきます

  1. ルールを作り過ぎない
  2. 年齢相応のルールを設定する
  3. ルールを決める話し合いに子供も参加させる
  4. 子供にルールを課すのであれば大人にもルールを設けて確実に守る

ルールが多すぎると怒る回数が増えて、子供の自己肯定感が下がってしまいます、!

*子供の自制心を育む方法はこちらの記事でより詳しく解説しています

 

親子の対話で子供の「コミュニケーション力」を育む

日本人はコミュニケーションが苦手だと言われます。

マイナビニュースによる調査(2014年)によると、「自分のコミュニケーション能力に自信がない」と回答した日本人は72.4%もいたそうです。

そんなコミュニケーション力は家庭での「親子の対話」で育んでいきましょう!

具体的に親子で対話をする際のポイントを2つ紹介します。

Point1:使う言葉の種類を増やす

学力の話にはなりますが、1990年代に社会学者のベティ・ハートとトッド・リズリーによって行われた調査では「幼児期に聞く言葉の数や種類が将来の学力の差を生む」ことが明らかになりました。

ハートとリズリーは、複数の社会経済レベルにある合計42の家族の子供とその親を対象に調査を行いました。

その結果、3歳までに聞いていた言葉の量が9歳時点の言語レベルや学校のテストの点数に影響を与えていた(相関していた)ことが分かったそうです。

よく親の年収と子供の学力が相関するなどの報道がありますよね?

ただ本当に子供を成長させようと思ったら、お金ではなくたくさんの言葉の方が有効なのです。

具体的には、「子供だから、、」という理由で簡単な言葉ばかり使わず、意識的に使う言葉のフレーズや表現の種類を増やしてあげてください。

Point2:子供の能力ではなく、努力や工夫を褒める

スタンフォード大学の心理学教授であるキャロル・S・ドュエック博士は20年に渡って子供についての調査を行いました。

その結果、「闇雲でもとにかく子供を褒める」ことが必ずしもポジティブな成果につながらないことを発見しました。

ドュエック博士は、10代の子供を集めてIQテストを受けさせました。

その際子供を褒め方によって2つのグループに分けました。

一つ目のグループには「能力褒め(◯点もとったのね!あなたは頭がいいね!)」を行い、もう一方のグループには「プロセス褒め(◯点もとったの、よく頑張ったね!)」を行いました。

その結果、「能力褒め」を受けたグループは次のテストを受ける際により簡単な問題を選ぶようになり、「プロセス褒め」を受けたグループはより難しい問題を選ぶようになったそうです。

能力を褒めると「頭が良い」という状態を継続するために点数にこだわるようになり、プロセスを褒めると「頑張る」という過程自体を続けようとするのでより難しいことに挑戦するようになったということです。

お子さんを褒める際には、「頭が良いね」「才能があるね」などの「能力褒め」ではなく、「過程」「工夫」「継続」などを具体的に褒めてあげてください!

 

遊びで「問題解決能力」を育む

子供の「遊び」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?

遊びに対してネガティブなイメージを持っている方もいらっしゃるかと思いますが、実は幼少期の遊びには子供の非認知能力を伸ばす可能性が大いに含まれているのです。

「遊びの研究所」創設者である、精神科医でもあるスチュアード・ブラウン博士は、6000人の子供を対象に「遊びと成長の関係性を紐解く調査」を行いました。

その結果、子供の遊びは、脳の柔軟性と順応性を高め、より創造的なスキルを獲得することを助けることが分かったそうです。

特に幼少期からよく遊んでいた子供は、自分から問題を見つけ、自分で考えて行動する力に優れていた、とブラウン博士は結論付けています。

具体的におすすめの遊びを2つ紹介しておきます。

おすすめの遊び①:自然の中での遊び

キャンプなど、豊かな自然の中での遊びはおすすめです。

ある研究によると、自然の中で遊ぶ機会の多い子供は自己肯定感が高い傾向にあったそうです。

身体を動かすときに出るドーパミンやセロトニンがポジティブな思考を促し、心と身体の回復力を高めるのです。

またスポーツもおすすめです。

おすすめの遊び②:子供自らが企画をする遊び

誕生日やお楽しみ会などを子供に企画させてみることもおすすめです。

会社で企画職についている方はイメージしやすいと思いますが、企画とは問題解決そのものです。

手作りのプレゼントや出し物などについて子供同士で話し合い、「どうしたら主役のあの子が喜ぶか?」「どうやったら楽しい思い出が作れるか?」を考えることは子供にとっては有益な問題解決の練習になります。

*その他、子どもの非認知能力を育む6つの遊びをこちらの記事で紹介しています

 

子供と自分を受け入れ、「自己肯定感」と「レジリエンス」を育む

皆さんは、子供に対して受け入れの姿勢を示せていますでしょうか?

また、自分自信のことは好きでしょうか?

もし上記の質問に対して100%”YES!”と答えられないようであれば、それぞれについて一緒に学んでいきましょう!

家庭で子供の自己肯定感を育む12の関わり

『「非認知能力」の育て方』では、家庭における親子の関わりの中で子供の自己肯定感を育む方法が12個紹介されています。

それをざっと紹介します。

  1. 子供に声を掛ける頻度を上げる
  2. 子供の話を「ながら聞き」しない(スマホ禁止!)
  3. 感情的ではなく理性的・論理的に話す
  4. 明確な言葉で感謝を伝える
  5. 子供を観察し、具体的に褒める
  6. 他の子供ではなく、過去の自分と比較する
  7. 欠点を直すよりも長所を伸ばす
  8. 小さな決断、小さな成功体験を積み上げる
  9. 選択肢を用意して、自分で決めさせる
  10. 先回りして大人がやるのではなく、手本を見せて手伝う
  11. 子供の感情が爆発したら、ゆっくりとその理由を聞く
  12. 子供は親の従属物でもコピーでもないことを理解する

親自身の自己肯定感を高める

日本人は子供だけではなく大人も自己肯定感が低い傾向があります。

自己肯定感が低いとストレスがたまりやすくなるのですが、エセックス大学(英)の研究によると、子供の満足度は両親の満足度、特に母親の満足度と関わりがあるそうです。

なので、子供に必死になるだけではなく、親自身もストレスマネジメントをして自己肯定感を高める取り組みが大切です。

具体的な方法を紹介します。

忙しいとは思いますが、1-2時間時間をとり「ストレスの原因になっていること」をリストアップしてみてください。

そして「洗濯物を干すこと」がストレスの原因なら「ドラム式洗濯機を買う」など、対応可能なものは外注・機械化・中止何かの手段で潰してしまってください。

お金はかかると思いますが、「子供との充実した時間 > お金」ではないでしょうか?

*子供の自己肯定感を高める方法はこちらの記事で詳しく解説しています

*レジリエンスについてはこちらの記事で詳しく解説しています
レジリエンスの高い子どもに育てる4つの方法。心の回復力を育てよう!

 

子供の「好き」を一緒に見つけ、「非認知能力全体」を育む

非認知能力を伸ばす習い事について説明した記事でもお伝えしましたが、子供の非認知能力を伸ばす際に重視をすることは子供の「パッション」です。

大人が指示したりやらせたりすることでは、子供の非認知能力は本質的には磨かれません。

反対に、子供が「どうしてもこれをやりたい」と思えるほど熱意を感じる活動に集中できる環境を作ってあげれば、介入の回数が少なくても自然と非認知能力は伸びていきます

この「子供の熱意を軸にする」という考え方はマリア・モンテッソーリが提唱した「モンテッソーリ教育」でも重要視されています。

親御さんにお願いしたいのは、「根気強く子供が熱意を持てる活動を一緒に見つけてあげる」ことです。

『「非認知能力」の育て方』で紹介されている「子供のパッションを探し支える6つの方法」をリストアップしておきます。

  1. 様々なことに挑戦させる
  2. いろいろな出身・価値観を持った人に会う機会をつくる
  3. 子供の「極度の集中状態(フロー状態)」を見逃さない
  4. 見つかるまで探し続ける
  5. 始め方と辞める条件を決めておく
  6. 「何のために?」という質問を習慣にする

また、「子供が熱意を感じている状態」を見極める4つのシグナルをこちらの記事で解説しているので、気になる方は読んでみてください。

 

子供の「非認知能力」を伸ばす際の注意点

非認知能力を伸ばす方法について理解できたでしょうか?

最後に、子供の非認知能力を伸ばす際の注意点を紹介しておきます。

子供の非認知能力を育てる際は、闇雲に行うのではなく、きちんとした学習をし、正しい方法や順番を守ることが重要です。

 

注意点1:非認知能力には伸ばす順番がある

非認知能力には「レベル」と「伸ばす順番」があることに注意をしてください。

ターンアラウンドフォーチルドレンは、「学習のための積み木」という概念を説明しながら「高次の非認知能力をいきなり伸ばすことはできない」と主張しています。

高次の非認知能力とは具体的には、「GRIT」「リーダーシップ」などです。

反対にベースとなる要素は「アタッチメントの形成」「ストレス管理能力」「自制心」、そしてここに「自己肯定感」を加えた4つで語られることが多いです。

高次の非認知能力をいきなり伸ばすのは、ゲームで言うと最初のポケモンをもらった瞬間に四天王に挑戦するようなものなので、「順番」を意識してあげてください。

*「学習のための積み木」はこちらの記事で詳しく解説しています

 

注意点2:今、非認知能力のうちどのスキルを育てているか意識する

非認知能力を伸ばす際には、「いまはこの非認知能力を伸ばしている」ことを意識するとより効果的です。

この話は『自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』という本で紹介されているのですが、左記の本では非認知能力を大きく3つの分類しています。

  • 自分と向き合う力
    自制心、忍耐力、レジリエンスなど

  • 自分を高める力
    意欲、向上心、楽観性、自尊感情など

  • 他者とつながる力
    共感性、コミュニケーション力など

最低限、上記の大分類を念頭において上で「どの非認知能力を伸ばすか?」ということを意識してあげてください。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

すぐに実践できるよう具体的に紹介させていただいたので、ぜひ今日からでもお子さんにと一緒に実践してみてください。

分からなくなったらぜひまたこの記事を読みに来てください!

 

参考情報

・「非認知能力に関する研究の同行と課題」(西田、久保田、利根川、遠藤 2018)

・『0~5歳児 非認知能力が育つこれからの保育

・『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ

・『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー

 
 

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