子供の自制心を鍛える5つの方法を紹介【今日から実践可能!】

非認知能力

 

・うちの子供、順番守れないし自制心がない?
・家庭で子供の自制心を育むにはどうしたらいい?
・子供の自制心を育むためにおすすめの習い事はある?

本記事では、このような悩みや疑問を解決します。

記事を書いている僕は、非認知能力に関する教育サービスの開発を3年ほどしたり、プロボノとして中高生の非認知能力を伸ばすキャリア教育をしたりしています。

子供の自制心が重要な理由

子どもの自制心
家庭、学校、公園、さまざまな場所で自制心の必要性を感じるのではないでしょうか?

まずはそんな自制心の重要性を「学習のための積み木」という概念を用いて説明します。

 

学習のための積み木

学習のための積み木」はニューヨークを拠点とする非営利団体ターンアラウンド・フォー・チルドレンが提唱した概念で、「子供の能力には伸ばす順番がある」ことが示唆されています。

子供の将来の社会的成功には学習のための積み木に記載されている「非認知能力」が関係します。

そして、その非認知能力には伸ばす難易度(レベル)や順番が存在することを抑えることが必要。
*非認知能力=数値化・指標化することができないが、子どもの将来を左右する”生きる力”の総称。

*非認知能力についてはこちらの記事で詳しく解説しています

子供の将来を左右する「非認知能力」とは何か?

学習のための積み木では、上の積み木に記載されている能力ほどレベルが高く、子どもの発達過程の後半に伸びるとされています。

要するに、レベルの高い非認知能力をいきなり伸ばすことは難しく、まずは土台が築かれている必要があるのです

そしてその土台の一つが、自制心
*他2つは「アタッチメント(愛着)」と「ストレス管理能力」

自制心があるのとないのとでは、その他非認知能力の獲得のしやすさが変わってくる、とご理解いただければ幸いです。

*「アタッチメント」と「学習のための積み木」についてはこちらの記事で詳しく解説しています
子どもとの間にアタッチメントを形成する方法を4ステップで解説【今日から使える!】

*ストレスに対処する力(ストレスコーピング)についてはこちらの記事で詳しく解説しています
ストレス発散より大切!子どものストレスコーピングを育む方法

 

自制心がある子供、ない子供の特徴

子供にとって自制心が大切な理由ができたところで、自制心がある子供とない子供の特徴を見ていきましょう。

それぞれの特徴を理解することで、ご自身のお子さんの状態をざっくりと把握することができるはずです。
*あくまで参考情報としてご覧ください

自制心がある子供の特徴
  • ルールを守りながらも創造的なアイデアを出すことができる
  • 他人とうまく協力することができる
  • 誘惑に負けずにやるべきことに集中できる    など

一方でこちらが自制心がない子供の特徴です。

自制心がない子供の特徴

  • しかるべき場面でもいつも落ち着きがない
  • 我慢ができずいつまでたっても自分の感情を他人にぶつけてしまう
  • 公共の場所でのルールを守ることができない(公園で遊具を使う順番など) など

 

自制心の重要性を裏付ける2つの根拠

ざっくりと自制心の重要性について説明してきました。

子供に対して自制心を育む関わりをするためには、自制心の重要性を裏付けるエビデンスを把握しておくことが大切です。

そこで、自制心の重要性を裏付ける2つの研究を紹介します。

*難しい話が苦手な方はこの章を飛ばしてください
*ただエビデンスベースの教育を行う上では重要な話なので、時間がある時に読んでいただけると嬉しいです

①マシュマロ実験

マシュマロ実験の概要と結果

マシュマロ実験はコロンビア大学のウォルター・ミチェル教授が186人の4歳児を対象に行った実験です。

具体的な実験内容は下記の通り。

  • 子供にマシュマロを一つ渡す
  • 大人は子供がいる部屋から退出する
  • 大人が部屋が出る前に子供に「今マシュマロを食べてもいいけど、私(大人)が部屋に戻ってくるまで我慢できたらマシュマロをもう一つあげるよ」と伝える
  • 大人は15分後に部屋にもどる
  • 子供がどのくらいマシュマロを我慢することができたかを検証
  • 15分間我慢し2つ目のマシュマロをもらった子供と我慢できなかった子供のその後を追跡調査

結果的に3分の1の子供が15分間我慢して2つ目のマシュマロを手にしました。

そしてその後数十年に渡り追跡調査すると、15分間我慢できた子供はそうでない子供に比べて大学進学適性試験(SAT)のトータルスコアが平均210ポイント高かったのです。

他にも、
・周囲から優秀だと判定される確率
・集中力(副測線条体と前頭前皮質の活発度)
などでも15分間我慢できた子供の方が優秀な成績を納めていました。

このことからミチェル教授は、「子供時代の自制心と将来の社会的成果には強い関連性がある」と結論付けました。

*マシュマロ実験は2018年により大規模で再現実験が行われ、その際には当時と同じ結果を得ることができなかったそうです。この実験については今後の追加で検証が行われその審議が議論されていくことになると思います。

 

自制心を働かせるための「精神的戦略」

またマシュマロ実験では、下記の観点についてより詳しい観察が行われました。

自制心が強い子どもに特徴的な行動はないか?

② 「①自制心が強い子どもに特徴的な行動」を、自制心が弱い子どもにやってもらったら自制するようになるのか

結論として、「① 自制心が強い子どもに特徴的な行動」は存在しました。

それが、「精神的戦略」を上手く活用していたことです。

精神的戦略と聞くと難しいですが、例えばマシュマロ実験ならば下記のような、「マシュマロを食べないようにする工夫」です。

・手で目を覆ってマシュマロを見ないようにする
マシュマロを人形に見立てて、食べるのではなくマシュマロで遊ぶ

また、②「①自制心が強い子どもに特徴的な行動」を自制心が弱い子どもにやってもらったら自制するようになるのか?、についても良い結果が出たそうです。

具体的には、マシュマロを我慢することができた子供の「精神的戦略」を、自制心が弱かった子どもにやってもらいました。

すると、マシュマロを我慢できなかった4歳児の25%が15分間マシュマロを食べずにいられたのです。

 

②アメリカデューク大の1000人を対象にした追跡調査

2つ目のエビデンスは、デューク大学(米)の研究です。

上記の研究では1,000人の子供の自制心(セルフコントロール)を計測し、その後の社会的な成果についても追跡調査をしました。

その結果、子供時代の調査で「自制心が高い」と判定された子供は、そうでなかった子供に比べて年収、社会的地位において良い結果を残していていました

一方で、「自制心が低い」と判定された子供にはネガティブな傾向がみられました。

具体的には、「自制心が低い」と判定された子供は
・ギャンブルにハマっている確率
・ドラッグに手を染めている確率
などが高かったのです。

また、自制心を含めた「非認知能力」全体の重要性を示唆した研究としては、1960年だいにアメリカで開始され、その後数十年間子どもの成長を追いかけた「ペリー就学前プログラム」が有名です。

*「ペリー就学前プログラム」及び左記の実験を元にした経済学者ジェームズ・ヘックマンの研究についてはこちらで詳しく解説しています。

非認知能力の重要性を示唆したヘックマン教授の研究【ペリー就学前プログラム】
「非認知能力が大切って聞くけど、その根拠はなんだろう?」 「ヘックマン教授が引用する研究(ペリー就学前プログラム)について詳しく知りたい」本記事では、このような悩みや疑問を解決します。「ペリー就学前プログラム」については図を用いながらその概要と結果をわかりやすく解説しています。

 

自制心が働き始める時期

自制心が身につき始める時期についても、2つの話から簡単に紹介しておきます。

①京都大学大学院 森口佑介准教授
「がまんする力(自制心)」が育つのは4歳頃(すくすく子育て情報 | NHK)

②nature asia
中国で3〜9歳の子供2,135人を対象に行われた研究によると、子供の良好なセルフコントール(自制心)が発達するのは5〜6歳

上記の情報を考慮すると、自制心は4〜6歳に発達すると考えるのが良さそうです。

 

子供の自制心を育む方法を5つ紹介

最後に、子どもの自制心を育む具体的な方法を、「家庭」「習い事」に分けて、合計5つ紹介します。

 

家庭で自制心を育む方法

まずは家庭で自制心を育む方法を3つご紹介します。

どれも道具などは必要なく、いますぐに導入できる方法です。

1,子供と一緒に3つのルールをつくる

まずは『「非認知能力」の育て方』から「家庭ルール」を紹介します。

子供の自制心は日常のあらゆる場面で育まれるのですが、その土台になるのが「ルールを守ること」です。

そのためにはまず家庭で、すべきこととやってはいけないことの間に明確に線引きを行い、ルールについて理解をしていく必要があるのです。

では、どのような家庭ルールが必要なのでしょうか?

『「非認知能力」の育て方』の著者であるボーク重子さんは以下の3つのルールを定めることを推奨しています。

  1. 基本ルール:いつ、どこにいても、誰といても守るべき基本的な原則(3,4つ程度)
  2. Doルール:「やるべきこと」のリスト(10個以下)
  3. Don’tルール:「やってはいけないこと」のリスト(Doよりも少ない数)
    *ルールは作りすぎず、かつ年齢相応にすることに注意

家庭ルールを定める際は、ルール決めの話し合いの場に子供も参加させるようにしましょう。

それによりルールが他人事ではなくなり、内発的動機付けが促進されます。

内発的動機付けとは?子どものやる気は内側から引き出そう!【外発的動機付けとの違いも解説】

また、子供にルールを課すのであれば大人も守るべきルールを決め100%守りましょう。
(家庭ルールを子供と一緒に守ることでもOK)

*家庭ルールについてはこちらの記事で詳しく解説しています

子どもの非認知能力を育てる5つの方法を紹介【今日から実践可能】
「最近よく聞く「非認知能力」ってなんだろう?」「子供の「非認知能力」はどうやって育てたらいいんだろう?」「家庭でできる具体的な方法が知りたい!」本記事では、このような悩みや疑問について、『「非認知能力」の育て方』という本をベースに網羅的に解決します。

 

2,シンキングアラウド法

次に紹介する方法は、「シンキングアラウド法」。

これは「家庭ルール」よりも簡単です。

シンキングアラウド法は、いつの作業(料理、洗濯など)独り言を言いながら行う手法です。

大人は普段、日常のあらゆる行動を無意識に行っているのですが、実は日常的な行動でも分解してみると実は複雑なステップをこなしてます。

例えば、「にんじんを切る」行為を分解するとこのようになります。

  • にんじんを袋から出す
  • キッチンの扉を開ける
  • 包丁と皮剥き機とまな板を探して見つける
  • 包丁と皮剥き機とまな板を取り出す
  • 包丁と皮剥き機とまな板をキッチンに置く
  • まな板の上ににんじんを置く
  • 皮剥き機を手に持つ


上記のような行動を黙々とこなすのではなく、子どもが見ている前で一つ一つ口に出すのです。

「まず最初に袋からにんじんを出して」「キッチンの扉を開けて」「包丁を取り出して」というイメージです。

このようなシンキングアラウド法が有効な背景には、自制心が働くプロセスが関係しています。

自制心はざっくり言うと下記のようなプロセスで働きます。

  1. 何かしらに対して、子どもの心が反応する
  2. 「〜をしたい」「〜に触りたい」など子どもの中に欲望が芽生える
  3. 上記の欲望を実行すべきかどうか考える
  4. 「この場面ではこの欲望を実行すべきではない」と考え、実行するのをやめる

特に2.の行動にご注目ください。

自制心を働かせるには、「自分がどのような欲望・思いを持っているのか?」を把握する必要があります。

つまり、考えを言葉にする必要があるのです。

ただ、子どもは自分の考えを言葉にし、自分の欲望や思いを把握するのが苦手。

そこで、シンキングアラウド法が効果を発揮するのです。

具体的には、大人が思考を口に出すことで、子どもも日常的に自分の思考を言葉にしたり内省したりする癖がつきます。

モンテッソーリ教育の考え方に、特に3歳までは周りの大人の行動を良し悪し関係なく真似るそうなので、幼ければ幼いほど効果を発揮します

また、シンキングアラウド法を行う際のポイントですが、「直感的に判断しそうになったけど、よく考えて行動を変えたり辞めたりした際の思考」を積極的に喋ってあげてください。
*「つまみ食いしそうになったけど〇〇ちゃんたちに完成した料理を見せたいから我慢」など

なぜなら、それこそが自制を働かせた瞬間だからです。

 

3,「WHY」を重視した対話

「シンキングアラウド法」は、大人の思考プロセス及び自制心を働かせた瞬間を子供に擬似体験してもらう方法です。

それに対して子供に自身の思考プロセスに気づいてもらう方法が「WHYを意識した対話」です。

先述の通り、自制心を働かせるには思考プロセスの把握と自制心の発揮所の見極めが必要です。

とはいえ、子供にいきなり「考えていることを話して」と言っても子供は恥ずかしいし何を話したらいいかわからないでしょう。

そこで是非夕食の時間を活用していただきたいのです。

具体的には夕食の時間に、「今日あったこと」をまず聞いてあげてください。

そしてその出来事に対して、
・「その時にどう感じたか?」
・「なぜそう感じたか?」
・「なぜそのような行動をしたのか?」
など「なぜ」を中心にした質問をしてあげてください。

それを地道に繰り返していくことで自制心を働かせるべき部分に気づく力と、自身の思考を客観的に把握する「メタ認知能力」が育まれます。

 

自制心を育む習い事

既に家庭では自制心を育む手法を導入しているよ!という方は、習い事にもトライしてみましょう。

4,チームスポーツ

自制心を育む上でおすすめの習い事がチームスポーツです。

先述したようにルールを守る中で自制心が育まれていくのですが、チームスポーツはルールを守りながら勝利や良好な成績を目指すものですよね。

例えばサッカーなら、
・手を使ってはいけない(サッカーのルール)
・ボールを持ったらまずフォワードを見る(チームの決め事)
・ドリブルばかりだとボールが回ってこなくなるからパスも出す(暗黙のルール)
など様々なルールや決め事を守りながら勝利を目指しますよね。

ルールを守る、でも勝ち(良い成績)を目指す」。

この繰り返しで自制心が育まれるのです。

ちなみに習い事を選ぶ際に最も重視していただきたいのは、「子供自身の熱意」だと『「非認知能力」の育て方』の著者ボーク重子さんは話しています。

ボークさんは娘のスカイさんが熱意を投じることができる習い事に出会うまで、合計15個もの習い事に付き合ったそうです。

*子供の非認知能力を伸ばす習い事を基準について、こちらで詳しく解説しています

 

5,モンテッソーリ教育

モンテッソーリ教育は必ずしも習い事という訳ではなく家庭でも実践可能ですが、自制心の育成にとって有効です。

『モンテッソーリ教育を受けた子どもたち 幼児の経験と脳』では、1999年から10年間に渡りモンテッソーリ教育を受けた子供を対象に行った研究の結果が紹介されています。

上記の研究によるとモンテッソーリ教育を受けた子供には、
・生活リズムを規則正しく実行できる
・他人の立場を考え思いやる
などの特徴がみられたそうです。

*上記の研究も含めてモンテッソーリ教育についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

 

子供の自制心を育む時の注意点

ここまで読んでいただきありがとうございます。

既にあなたは子供の自制心を育む重要性も、具体的な手法も理解していると思います。

ただ、子供の自制心の育む上で2つ注意点があります。

最後にそれらを紹介しておきます。

愛情を与えることは我慢させない

一つ目は、自制心を働かせるべきではない場面についてです。

自制心の話を理解したあなたは、公園で子供が順番を守れない姿などを見て、子供に時制を求め始めるでしょう。

ただし、「子供が愛情を求めている場面」では躊躇わずそれに応じてあげてください。

例えば、「ママ、抱っこ」などです。

なぜなら、先述した「学習のための積み木」で自制心と並んで土台となる要素が「アタッチメント(愛着)」だからです。

1986年に西インド大学がジャマイカで行った実験を紹介します。

その実験では、129人の乳幼児とその家族に対して様々な介入を行い、その後の子供の成長を30年以上に渡り追跡しました。

その結果、子供の人生に最も大きな影響に及ぼしたのは「もっと子供と遊ぶように」というアドバイスだったそうです。

具体的には「もっと子供と遊ぶように」というアドバイスを受けた家庭で育った子供はそうでない子供に比べて、
・知能指数
・暴力性
・平均年収
などで良好な成績を収めたそうです。

「愛情を求めるシグナル」を拒むとアタッチメントの形成に悪影響を及ぼすので、すぐに応じてあげてください。

 

「すいさつ」に該当する時は自制心を求めない

ダニエル・J・シーゲルとティナ・ペイン・ブランソン著『子供の脳を伸ばす「しつけ」』によると、子供には理性的な判断(専門的にはシステム2と言います)が働きにくくなる瞬間が複数あります。

そのタイミングでは親から自制心を育むような働きかけをしても効果がないため、まずは理性的な判断を妨げる要因を取り払ってあげましょう。

『子供の脳を伸ばす「しつけ」』には、理性的な判断を妨げる要因が4つ紹介されており、それらの頭文字をとって「すいさつ」と読んでいます。

  • お腹が“す”いている
  • “い”らついている
  • “さ”びしい
  • “つ”かれている

子供を良く観察してみてください。

そして、子供が上記の「すいさつ」に該当する場合は、無理に自制心を要求せずにその要因を取り払う行動をしてあげましょう(さびしそうならハグをしてあげる等)

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

・自制心の重要性
・自制心の育て方
・自制心を育てる上での注意点
をご理解いただけたでしょうか?

複数のエビデンスを引用しながらだったので、少し難しい部分もあったかも知れません。

ただ、子供の将来を考える上でとても大切な話なので、2回3回と振り返っていただき内容をご理解いただけますと幸いです。

 
 
 

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