東大・京大生から圧倒的な支持を得ている『思考の整理学』を3ポイントで要約して紹介します。
本書には
・「思考を整理する」とはどういうことか?
・思考を整理するためにはどうすればよいのか?
ということが様々な例を用いながら書かれています。
飛行機型人間になる
本書では、世の中に2種類の人間がいると言われています。
それが、「グライダー型人間」と「飛行機型人間」。
前者は、今日の学校教育に代表されるような受動的に知識を得る人を指します。
一方で後者は、自分で物事を発明・発見していくような人間で、筆者はこの「飛行機型人間」を目指すべきと述べています。
言わずもがな情報社会が到来し、知識を持っているだけの「グライダー型人間」の市場価値を下がっています。
その中で、社会や生活者の課題を捉えてビジョンを掲げ、自ら課題解決の為に行動する「飛行機型人間」の価値はどんどん上がっていきます。スティーブジョブズやイーロン・マスクがその典型的な例でしょう。
また、そういった「飛行機型人間」になっていくために必要なスキルが「思考の整理」なのです。
思考を整理するとはどういうことか?
さて、「思考の整理」とはいったい何を指すのでしょうか?
本書ではそのポイントが2つ述べられています。
2. いかにうまく忘れるか?
低次の思考をメタ化させ、高次の思考に変換する
1つ目のポイントは、「低次の思考をメタ化させ、高次の思考に変換する」こと。
「低次の思考」とは簡単に言えば「思いつき」です。
*本書では「第一次思考」と呼ばれています
思い付きは断片的な情報に過ぎずそれ単体では価値を生みません。
重要なことは、「低次の思考」を「高次の思考(第二次思考)」に変換すること。
本書で紹介されている、「発酵」「混合」「アナロジー」等の手法を使い抽象化して、メタ的な情報に変えます。
簡単に言うと、単なる思い付きを精査したり他の思い付きや社会の通説と組み合わせたりして「価値を生み出すアイデア」をつくるのです。
いかに上手く忘れるか?
「思考の整理」、2つ目のポイントは「いかに上手く忘れるか?」です。
私たちの脳の容量は限られています。
そのため物事の記憶ばかりしていると、思考する余力がなくなります。
人の頭は、在庫を抱えすぎた工場のようにぐちゃぐちゃしていてはいけないのです。
ではどうしたら、「ぐちゃぐちゃな工場のような脳」から脱出できるのでしょうか?
その答えが「忘れる」ことであり、本書で推奨されている忘却の手段は「睡眠」です。
人間の脳は上手くできており、日中得た情報は寝ている間に自分の価値観に応じて必要・不要に分けられ、朝起きると自分にとって重要な情報のみが残っているのです。
本書では具体的に1日7時間以上の睡眠を毎日とることが推奨されています。
とはいえ、「中々睡眠時間が取れない」という方もいるのではないでしょうか?
そんな方向けに、人為的に忘却をするための方法として、以下2つが紹介されています。
b.全く別の問題に取り組む
メモを残す
1つは、メモを残すこと。
重要なことを忘れてしまっては大変なので、思考を中断する前に自分に対するメモを残しておきます。
特に疑問文で自分に問いかけるメモが望ましいそう。
全く別の問題に取り組む
もう1つは、全く別の問題に取り組むこと。
例えば新商品のコンセプトに詰まったときに以下のような行動をすることが、「全く別の問題に取り組む」に該当します。
- 恋人や親へのプレゼントを考える
- 健康になる為に散歩に出かける
- 友達と遊びにいく
じょうき2つの手法を組み合わせ、メモを書いて自分の無意識に問題が植え付け、さらに別の体験をすれば、その体験から本来取り組んでいた問題を解決するヒントが得られるかもしれません。
思考を整理するためにはどうすればよいか?
最後に、思考整理の具体的な手法を紹介します。
(2) 自分とは異なる考えを持った人と話す
とにかく書いてみる
1つはとにかく書いてみること。
本書では、「考える行為は立体・書く行為は線状」だと説明されています。
頭の中では、「AもあってBもあって」という複雑な思考が可能です。
しかし、実際のボールペンなどを持って紙に書く際には、「A」か「B」どちらかを先に書きますよね?
そのように、書くということは頭の中にある優先順位などを曖昧にしていたものに対して強制的に優先順位をつけ整理することでもあるのです。
複雑に考えていたことを、とにかく紙に書いてみる。
それにより自分の中で優先順位がつけられたり、新しい発見が得られたりするのです。
またポイントとして、一度書き始めたら途中で止まらず結論まで書き切りましょう。
1から100まで完成されてしまうのです。
その後、推敲を重ねます。
推敲段階では、文言の修正等部分的な手入れではなく、構造的な変更が必要。
やや難しいと思いますが、「構造的」というのは、例えば真ん中にあった文章の一固まりをまるまる前半に持ってきたり結論部分に持ってきたりという大掛かりな「文章の手術」という風にイメージするとわかりやすいかと思います。
推敲を重ね、修飾語や副詞を取り払った名詞中心のタイトルが付けられたら思考の整理は完成する、と言われています。
自分とは異なる思考を持つ人と話す
2つ目は自分とは異なる思考を持った人と話すこと。
生物学の分野では、同系繁殖・近親交配を意味する「インブリーディング」という言葉がありますが、同じ分野の人ばかりで話していると話が専門的になっていくばかりで広がらないのです。
自分と異なる専門性を持った「異質な他者」と話し、自分のアイデアに不足しているポイントを発見したり、元の発想を拡張したりするべきなのです。
また仲間と会話をする際には自分の考えを口に出しますが、これまた重要なことです。
なぜなら、思考の整理はなるべく多くの「チャネル」をくぐらせた方が進むからです。
「チャネル」とは、頭・手・口といった体の部位を指します。
頭で考え、手で考え、しゃべって考え、さらに仲間の頭でも考えてもらい……、というように複数のチャネルを経由することでどんどん思考の整理が進むのです。
最後に
ここまで読んでくださりありがとうございました。
もし本記事に興味を持ってくださった方は、こちらの記事をぜひ読んでみてください。ここでは、もう少しビジネスマンに話を寄せて「生産的に働くための思考」について書かれた『イシューからはじめよ』について説明しています。
また、最近stand.fmという音声アプリをはじめました。
この『思考の整理学』について音声でも解説しているので、通学・通勤途中などで聞いてみてください(10分と少しで聞き終わります)。
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