多くの会社及びプロジェクトで設定しているであろうKPI。
ただし、KPIの設定・運用が雑だと本来求めたい事業成果に負の影響を及ぼします。
まずKPIとは「事業目標の達成に向けて、無駄なく行動する為に集中する点を明確にし、その進捗を測るためのもの」と本書では定義されています。
その為、事業目標と関連がないものはNGですし、KPIを10個も置いて報告義務の無駄を増やすのも本末転倒です。
重要なことは正しいKPIの設定・運用方法を知った上でビジネスを推進していく姿勢です。
①KFI(重要業績指標):何を活動の目的にするか?(財務的な結果)
②KRI(重要結果指標):どういう状態になれば目的を達成できるのか?
・KRIを起点にユーザーが動き、KFIを達成するストーリーを描く
③KAI(重要活動指標):KRIの状態を作る為にどんなアクションが考えられるか?
上記3つのレベルそれぞれに対して具体的なイメージを持ち、「KRI起点でどうユーザーが動くか?」というストーリーを描くことが必要です。
本書には上記のストーリーを文章化する為のフレームワークが紹介されているので、気になった方は読んでみてください。
KPIの3レベルを理解した上で、実際にKPIを設定していくのですが、その手順は下記のとおりです。
(1)活動の大目的を「KFI」として指標にする
(2)「KFI」達成に向けた最初に作業として、「インサイト」を推論する
インサイト推察には、二つのアプローチがあります。
(2)-1 ネガティブアプローチ:生活者が企業の望む行動をしない理由を深ぼる
(2)-2ポジティブアプローチ:例えレアケースだとしても、人が商品・サービスを使ってくれた理由を深ぼる
また「インサイト」発掘段階では、データでがちがちに裏付けをするのではなく、推論的に話を進めていく方が大切です
(3)「インサイト」の推論から、「KFI」に繋がる「あるべき状態(KR)」を導出
ここで持つべき視点は、「あるべき状態(KR)」を実現すると、その他の阻害要因の解決にもつながるか?というものです
(4)「あるべき状態(KR)」を作るためのアクションを検討
(5)(1)-(4)を想定される波及効果でつなぎ、「ストーリー」としてまとめる
楽観的に進めるのではなく、「本当にこのストーリーは機能するのか?」という健全な自己否定精神に基づき「ストーリー」を作りましょう
(6)「ストーリー」を動かすための「指標」を設定
「SMART」というフレームワークを使い、設定した「指標」に問題がないか確認しましょう
・Specific:具体的に表現されている
・Measurable:数値測定が可能
・Achievable:実現可能な目標
・Relevant:目標に関連している
・Time – bound:期限が決められている
また、KPIの運用に失敗するケースも紹介されています。
その中から特に重要だと思ったものをピックアップしますが、失敗ケースに共有するものは「想像力の欠如」です。
つまり、「そのKPIがあることで、チームメンバーやステークホルダーが何を思い、どう行動するか?」という点について議論させていないKPIマネジメントは失敗しやすいのです。
失敗ケース一つ目は、「オプションを十分検討せず無意味な指標を選択してしまう」ケース。
データが取れるから、上司に言われたから、クライアントから言われたから、過去もその指標を使っていたから等の理由で設定したKPIは失敗に終わりやすいです。
二つ目は、「制御不能な要素を含むKPIを設定する」ケース。
わかりやすいものは売り上げで、広告プロモーションの効果を測りたいときは、商品の訴求力や増税前の駆け込み需要など、ベース値、ノイズを除去しないと誤解を招きます。
三つ目、そしてこれは相当まずいケースかと思いますが、「KPIの数が多すぎて辻褄合わせ的な業務になってしまう」ケース。
KPIマネジメントで重要なことは、単純なKPI達成度の測定ではなく、KPI達成/未達成の深堀(因果関係の検証等)にあります。
ただKPIが多すぎると、数値とりまとめにリソースが割かれる上、どの指標を深ぼれば良いのかわからなくなります。
最初は複数のKPIを試験的に設置してもいいかもしれません。ただし、一定期間運用後、・複数阻害要因への波及効果検証(ex,測定期間と測定期間外の時系列比較)・KRIスコアの向上がKFIスコアの向上に繋がっているのか の検証を怠らないようにしましょう。
他にもKPI含めてカスタマージャーニー全体をどう描くか?ということが書かれた『マーケティングオートマメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』についてもまとめているので、興味ある方は読んでみてください
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