【要約】『グロースハッカー』急成長請負人の仕事

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 本記事では、今注目が集まっている「グロースハッカー」という仕事について紹介している一冊、『グロースハッカー』について紹介します。

『グロースハッカー』からの3つの教訓
① 「グロースハッカー」とは
②  まずは人が欲しがるものをつくれ
③  これからのマーケターの仕事は「ブランド構築」ではない

① 「グロースハッカー」とは

 本書の冒頭に、「グロースハッカー」の定義づけがされている。まずはそれを紹介しよう。

 “グロースハッカーは、伝統的なマーケティング戦略を放棄し、検証・追跡・測定が可能なものだけを用いる。彼らの武器は、CMや宣伝や資金ではなく、電子メール、PPC、ブログ、プラットフォームAPIだ。古い世代のマーケターが”ブランディング”や”マインドシェア”等の漠然としたものを追い回している間、グロースハッカーはひたすらユーザーと成長とを追跡する。そして、戦略が当たれば、ユーザーがユーザーを引き込む連鎖反応が生まれるグロースハッカーとは、自立し、自己増殖する成長マシンの発明者であり、オペレーターであり、整備士だ。この成長マシンが新興企業を成功に導くのだ。”。

 やや長いが、これが本書で述べられている、「グロースハッカー」の定義だ。

 さらに、著名なグロースハッカーでノア・コーガンの言葉も紹介されている。

 “マーケティングの本質はずっと変わらないー顧客が誰で、どこにいるかだ」。本書では、この言葉を使って、グロースハッカーは、従来よりも科学的で測定可能な方法で、「誰」と「どこ」に集中することを説明している。

 上記のような手法を用いる為、グロースハッカーが重視する指標は、ROIであり、必要なのは、リソースのほとんどない状態から、まったく新しいブランドを作り出すスキルだ。そして、グロースハッカーになるには、「マーケティングは企業や製品の完成後にスタートする自己完結型活動」という考え方を放棄することから始まる、と述べられている。

 書かれている中で、「リソースがほとんどない状態から、まったく新しいブランドを作りだすスキル」と書かれていることは興味深いと僕は思う。なぜなら、企業する時、潤沢なリソースを持っている人はそんなにいないからだ。

 要は、グロースハックの手法を身に着けることは、リソースほとんどないビジネス初期で有効ではないか、ということだ、(*本書の中では、ビジネスのどんなフェーズでも有効な手段と書かれている)


②  まずは人が欲しがるものをつくれ

 先述したように、グロースハックは、製品が完成する前から始まる。グロースハック第一ステップは、「人が欲しがるものを作る」ことだ。

 これまでのマーケターはぱっとしない製品を売り込むことを仕事としてきた。そして失敗し、施策の何が悪かったか、と振り返る。

 グロースハックは違う。製品やサービス、あるいは事業そのものやビジネスモデルは、それを見た最初の人が強い反応を示すレベルになるまで改善できるものであり、またそうすべきだと考えるのがグロースハッカーなのである。

 「人が欲しがるものか否か」を判断する為に大切なのが、「PMF」という概念である。「PMF」とは、「プロダクトマーケットフィット」の略であり、「サービスと顧客のニーズが完全にシンクロする状態」を指す。

 上記の「PMF」を獲得する最善の方法は、まず「実用最小限の製品(minimum viable product:MVP)」でスタートし、ユーザーからのフィードバックに基づいて改良していくこと、だとされている。

 これは、「Pilot」や「POC」と呼ばれるテストマーケティングを実施し、その反応を見てビジネスを改善させ、徐々にスケールさせていく手法と似ているように思う。

 とにかく、大切なコトは、ユーザーがその商品をわざわざお金を払って使う理由を考えて、製品やサービスを、リリースできる最小限の状態で市場に出し、ユーザーの反応を見ながら高速で商品自体を改善させていく、ということだ。だから、測定可能な手法を講じる必要があるのだ。


③  これからのマーケターの仕事は「ブランド構築」ではない

 “マーケターの仕事はもう「ブランド構築」ではない。忠誠度が高く、情熱的なユーザーの集団を形成するのが仕事だ”。本書では、グロースハックの仕事について上記のように述べられている。

 要は、マーケターは、”ブランド想起率”や”認知率”ではなく、もっと経営に近い数字をトラックしていき、その数字をもとにして製品やサービスを改善し続けていかなければならない、ということだろう。

 実際、マーケティングの現場にいても、”ブランド想起”や”SOV(Share Of Voice)”論には限界があるように感じる。クライアントの反応からもそれは感じ取れることだ。

 だからこそ私たちは、もっと事業や経営、サービス開発レベルまでマーケティングを進化させていかなければならなくて、その一つに手法が「グロースハック」なのかもしれない。

 具体的に、経営に近い数字は、『孫社長にたたきこまれたすごい数値化仕事術』に書かれているように、以下の5つの数字があるだろう。

  1. 顧客数
  2. 顧客単価
  3. 残存期間(顧客でいてくれる期間)
  4. 顧客獲得コスト
  5. 顧客維持コスト

 上記数字のどこに寄与するとりくみかは、我々が常に意識すべき項目であろう。

 これは、グロースハックのステップ3である、「口コミを巻き起こす」段階にも関係しているように思える。

グロースハッカーは、口コミを起こす為に、次のようなことを考える必要がある。

  • 顧客がこの製品を話題にする理由はあるだろうか?
  • この製品には顧客が人に勧めたくなるような工夫がしてあるだろうか?
  • そもそもこの商品には話題にするだけの価値があるだろうか?

 いくら、”ブランド想起率”を高めても、”SOV”を上げても、上記のような質問に”YES”と答えられないような状態では、口コミで話題になる、なんてことはあり得ない。

だからこそ我々は、先述したように、製品・サービスを”PMF”を獲得することに加え、誰が、どのように、どんな理由で、口コミを作ってくれるか、という設計をしていく必要があるのだ。


 予算5億の広告キャンペーン、この響きは魅力的だが、我々が考えるべきは、その5憶すべてを本当に広告に回すべきか?製品開発に回した方がいいのではないだろうか?顧客へのアプローチはなるべく金のかからないもので行う、といったことではないだろうか。

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