【要約】なぜ、メルセデス・ベンツは選ばれるのか?|ベンツ成功の秘密

BOOK

 「The Best or Nothing(最高でなければ意味がない)」。

 とても素敵な企業スローガンだと思いませんか?

 今日は、そんなメルセデス・ベンツの日本法人社長を務める上野金太郎さんの方を紹介します。
上野社長がどのようにメルセデス・ベンツを成功に導いてきたのかが語られた一冊です。

『なぜ、メルセデス・ベンツは選ばれるのか?』からの3つの教訓
① できない理由を知れ
② メルセデスは、日々進化しようとし常に理想を追い求める人のクルマ
③ 数字と主張でフェアに行け

① できない理由を知れ

 「クルマを売らないショールームを作る」、ある日、上野さんはそんなミッションを掲げました。本国や周囲は反対。理由はシンプルで売り上げに繋がらないから、というものでした。

 ただ、上野さんは行動し続けました。
 具体的には、「できない理由」をヒアリングしまくり、それを「できる理由に変えていった」のです。それもより具体的で現実的な解決策を提案し実行し続けました。

 例えば土地の値段が「できない理由」だとわかれば、より安価な土地を自ら探しに行ってくるなど、「できない理由」を「できる理由」に変えるために奔走し続けました。

 そんな上野さんに言わせれば、最初から無理ですと発言することは、「具体的な問題点が分かっていないだけ」かもしれない、そうです。
 この考えには僕も同意です。
 無理だ、難しいなど考えていた問題が時間を取ったり、周囲にヒアリングしたりしていくうちに、徐々に解決していく経験を僕はしているからです。

 その、問題を具体的にするために有益なのが、以前本ブログでも紹介した「図解思考」だと僕は考えています。
 要は、問題をビジュアルで構造化していく、ということです。例えば、『図で考えればすべてまとまる』で紹介されている、「因数分解のパターン」が複雑な問題の構造化に有効でしょう。

 「因数分解のパターン」とは、まず左側に問題を書いて、それを四角で囲む、その右にどんどん、その問題を構成しているであろう要素を書いていく、というものです
 (英語が話せないという問題を一段階分解すると、文法がわからない、発音ができない、そもそもリスニングができない、単語を知らない、等複数の要素に分けられるはずです)。

② メルセデスは、日々進化しようとし常に理想を追い求める人のクルマ

 「メルセデスはお金持ちのクルマ。」
 僕はこの本を読むまでそう思っていました。
 しかし、300万円からかえるA-Classを出すなど、メルセデスはそのポジションから脱却しているように見えます。
(とはいえ300万円は大金なのですが…笑)

 ただ上野さんは本書で「メルセデスはお金持ちのクルマではない。成功者のクルマでもない。メルセデスは日々進化しようとし、自分の理想を追い続ける人のクルマ。成功した人が乗るクルマではなく、成功するために乗るクルマ。
と明言しています。

 メルセデスは理想を求める人が成功するために買うクルマなのです。
ここで難しいのが、「理想」と「成功」です。

 この多様性の時代においては、「理想」も多様です。
だからこそ、メルセデスは「多様な」理想の中から実現し得る「理想」を選ばなければいけない、と僕は考えています。
なぜなら「メルセデスを買えば誰のどんな理想でも現実になります」というのは魔法のランプでもない限り言いすぎだと考えるからです。
その為例えば、「移動時間を退屈な時間から家族の会話が弾む時間にしたい」(もっと言えば車で移動する家族の幸せを実現する)等、
メルセデスが実現し得る理想を考え、今後TVCM等を含めて消費者に提案していくべきだと思います。

 また、「成功」とはなんでしょう?
何をもって「成功」とするのでしょうか?
これは、個々人の「理想」によります。
それぞれが思い描く理想が違うからこそ、成功の基準も違う」、
だからこそ、上記したように「理想選ぶを」ことが求められていくのではないでしょうか?

 

 

③ 数字と主張でフェアに行け

 「どんなに無謀な挑戦でも根拠があれば挑戦する価値があるし、根拠がなければビジネスではない
これも上野さんの考えですが、僕はここにも同意します。

 ビジネスではお金を払う人がいて、それに対して価値を提供する人がいます。
お金をもらうためにはなんらかの価値を提供する必要があるのです。
その時に、「私たちが提供できるのはこんな価値です。」ということを根拠と共に提示できなければ決済担当は「Yes」とは言わないでしょう。

 会議などでも一緒です。
「こんなことやったらいい・やりたい」と発言する人は多くいますが、
それを論理立てて、
「なぜそれをやる必要があるか(課題は何か・その原因は何か・なぜ今日の提案でその課題が解決できるのか)」
「具体的にいつまでに何をやるのか」
「どんな効果が想定できるのか」というところまで言及できる人は少ないように感じます。

 ただし、自分の考えて根拠が全くないからと言って会議の間黙っていろというわけではありません。
むしろ、「思うことは口に出す」ことの方が重要だと僕は思います。

なぜなら、初めから「根拠も含めて納得できる100点の提案」なんてありえないからです。
発言して、実際にやってみて、失敗して、その中で成功し得るアイデアとそれが成功する根拠の発見をしていくのです。

だからこそ、「主張する」ことが重要です。
主張してフィードバックを得ることで自分のアイデアが磨かれるし、
主張し続ければ「この人はオーナーシップをもって何か答えを出そうとする人だ」という評判が立つのです。

そうなったらあとは、高速でPDCAを回すのみです。
何度も打ち砕かれて、主張も自分も成長していくのです。

 

 「主張しないのはフェアじゃない」
まさにその通りだと思います。

 会議にいるのに一言も言葉を発さずに後でぐちぐち言う方をよく見かけますがフェアではありません。

 「口に出したものが全て、書いたものが全て」、要は、「アウトプットしたものが自分のすべて」なのです。
手加減しているとか、相手は知りません。
常に社会から評価されています。
フェアに主張していきましょう。
そして近いうちに理にかなった根拠に基づく主張をできるようになりましょう!

 「The Best or Nothing(最高でなければ意味がない)」
 まさにこの企業文化を持つメルセデスだからこその、ストイックな内容が書かれた本だと思います。
 アウトプットにとにかく厳しく、メルセデスというブランドをアップデートし続ける、そんな姿を学ぶために是非お勧めの一冊です。


コメント

タイトルとURLをコピーしました