テスラモーターズ、スペースXといった企業名を聞いてわくわくするのは僕だけはないはず。
そんな企業を次々と生み出している、イーロン・マスクの半生について書かれた本を紹介します。
① 自分と同じくらい型破りな人間か?
② 目的の為に壁を壊せ
③ なぜTeslaは勝ったのか?
① 自分と同じくらい型破りな人間か?
イーロンは、常に型にはまらず高い理想を確実に実現していくことを求めます。例えば、マーケティング部門の人間が文法でミスを犯そうものならクビです。彼の打合せも有名です。会議で、「どうしてこれを選んだ?」と聞かれて、「これが一般的ですから。」なんて答えたら、「二度とそんなこと言うんじゃねえ。」とその場で会議室からつまみ出されるそうです。ただ、イーロンは、そのように社員をボコボコにしますが、すぐにクビにしないのであれば、信頼できる社員かどうかを試している、とのことです。要は、自分と同じくらい型破りな社員か、ということを知りたいのです。
確かに、社長だけではなく、社員全員が型破りなことは企業進化の為に必須だと僕も考えています。日本企業で働いていると、「成功した他社事例はないか?」「成功事例があったからこれを得意先の説得材料に使おう」という視点で語ることが多いような気がします。
要は、「前例を探して確実に成功させる。失敗しても自分たちが100%悪くならないような余地を残す。」という手法です。
イーロンは、そうではなく、「他がまだやっていない素晴らしいことは何か?」を探しているような気がしています。
僕も、明日から、「他社での成功事例はありますか?」ではなく、「どこもやったらことがない挑戦は何だろう?どうやったらできるだろう?いつまでにすべきか?」という視点でビジネスを考えていきます。
② 目的の為に壁を壊せ
イーロンが、次々と新しい挑戦を成功させている(もちろん失敗の数も計り知れませんが)のは、「型破り」ができるからだと思います。
例えば本書にはこんな文章があります。「前に進めないようなルールがあるなら、ルールそのものと戦わなくちゃいけない」というものです。
要は、イーロンにとっては、生物学的・物理学的に実現不可能なもの以外、可能という枠に入るのです。ルールなんてものはその代表でしょう。ルールは人があるとき定めます。だからこそ、変わりゆく時代に合わなくなったら更新されるべきです。そんあ不確定なものがイーロンに敵うはずがありません。
「無理な理由は何か?」、ビジネスで立ち止まったらこれを冷静に考えて分解していこうと思います。ここでも、以前から紹介している、因数分解等の図解思考が役に立つと考えています。例えば、無理や理由は、人なのか金なのかスケジュールなのか、などですね。無理な理由が分かればその要因をつぶして可能にする。それがイーロン・マスクです。
③ なぜTeslaは勝ったのか?
最後はteslaの話をします。テスラモーターズの売り上げはここまで順調、とのことですが、その理由は何でしょうか?
本書では、その解は、「テスラというブランドをライフスタイルまで高めたことだ。テスラが売っているのクルマだけではない。イメージを売り、未来へ足を踏み入れている感覚を売り、ブランドとの繋がりを売っているのだ。」と述べられています。
同様のことをテスラよりも前から実践しているのが、Appleです。アップル信者でなくても、アップルのハードウェアを使えば、アップルの世界観に引き込まれます。
ただこの、「ライフスタイル・未来」を売る、というのはテスラでないとできない、と筆者は述べています。
なぜなら、上記を実現する為には、内製化が必須であり、テスラ以外はそうではないからです。テスラにはいわゆる年式の概念がなく、常に最新の開発がオーナーのソフトウェアに反映されます。
また、そもそもテスラと他社では、描いているゴールは異なります。販売店の収益の50%ほどは、実は新車購入ではなく、オーナーの点検・車検などです。だから、どのメーカーも販売店のアフターセールス部分に力を入れているのです。それに対してテスラが描く未来は、少し異なるものです。テスラは、「究極のゴールは、一度かったらサービスセンターに持ってこなくてもいいようにする」ことだと述べています。
違う未来を描いているからこそ、作り出し・大きくしようとするキャッシュポイントは異なります。おそらくテスラが描く利用のキャッシュポイントは、①新車販売②買い替え③愛車のシェア④充電有料オプション⑤ソーラーパネルの導入⑥自動運転実現時の車内エンターテイメント、等でしょう。
僕は、テスラが「クルマではなくライフスタイルを売っている」ということには共感しています。かつ、ライフスタイルというよりも、「ビジョン」を売っている、といっても過言ではないと思います。もしかしたらテスラを購入するということは、株式を買う、テスラが目指す未来に賛成の一票を投じる、といったような感覚なのかもしれません。
自動車メーカーの目指す未来選挙、があったら、メルセデスのCASE、日産のゼロ・エミッションよりも、イーロン・マスクの目指す宇宙規模の未来、が選ばれることでしょう。
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