・自分の子供の自己肯定感は高い?
・子供の自己肯定感が低いのはなぜ?
・子供の自己肯定感は高める方法は?
本記事ではこのような疑問に回答します。
記事を書いている僕は、非認知能力に関する教育サービスの開発を3年ほどしたり、プロボノとして中高生の非認知能力を伸ばすキャリア教育をしたりしています。
子供の自己肯定感をチェックする
自己肯定感は、「ありのままの自分を受け入れる感情」です。
過去の成功体験の有無や、何かに失敗した状態でも自分を受け入れ肯定することができる子供は「自己肯定感が高い」と言われます。
*自己肯定感及び自己効力感についてはこちらの記事でより詳しく解説しています
自己肯定感は非認知能力に分類される
また自己肯定感は、「非認知能力」に分類されます。
非認知能力は、「数値化できないけれど将来の幸福度や年収を左右する”生きる力”の総称」で、自己肯定感はそんな非認知能力の基礎となる能力です。
経済学者のジェームズ・ヘックマンの研究によると、非認知能力を身に付けた子供は、40歳時点の犯罪率、年収、持ち家率などで良好な成績を収めていたそうです。
*非認知能力及びヘックマンの研究はこちらの記事でより詳しく解説しています
子供の自己肯定感チェックシート
自己肯定感を含めた非認知能力は数値化が難しいと書きました。
国語や算数のテストのように「◯か×か」で判断できないので明確な点数化が難しいのです。
ただ、主にアンケートなどを通して間接的に自己肯定感をチェックできる手段が存在します。
例えば、ほめ写プロジェクトさんが作成した「自己肯定感チェックシート」は簡単で取り組みやすいです。
全14問の簡単な質問に4段階で回答すると、お子さんの自己肯定感をチェックできます。
例えば下記のような項目があります。
- 自分に対して自信を持っている
- 自分に対して満足している
- 今の自分が好きだ
是非、こちらのリンクからチャレンジしてみてください。
自己肯定感が高い子供、低い子供の特徴
チェックシートを紹介しましたが、お子さんの年齢が低いなど、質問への回答が難しいケースもあると思います。
そんな方向けに、自己肯定感が高い子供、低い子供それぞれの特徴を一覧にしました。
ただし、下記の条件に当てはまったから必ずしも自己肯定感が低いという訳ではないのであくまで参考としてご覧ください。
(まだ自我が確立されていない時期のため、一時的に自己肯定感が低い特徴に合致するケースも考えられます)
上記の特徴について、一部データも紹介します。
例えば学習意欲・学習時間は、「子供の生活と学びに関する親子調査2017」(東京大学とベネッセが共同で実施)が参考になります。
上記の調査では、自己肯定感が高い子供と低い子供を分類し、学習状況を調査しました。
その結果、自己肯定感が高いグループは自己肯定感が低いグループに比べて、「勉強が好き」と答えた子供が10.3%多く、家庭学習を行う子供が10.4%多かったのです。
またカーネギーメロン大学は、難しい数学の問題を解かせる前に自己肯定感を高めたグループと何もしなかったグループに分け、被験者のストレス反応を調べました。
その結果、自己肯定感を高めたグループでは、幸福感などを司る脳の分野が活性化し、反対に恐怖を感じる脳の分野の活動は減少しました。
*上記の調査を含めて自己肯定感及び自己効力感の重要性はこちらの記事でより詳しく解説しています
日本の子供の自己肯定感は低い
日本人の自己肯定感が低いことは有名です。
ここでは具体的にどの程度子供の自己肯定感が低いか具体的に見ていきましょう。
海外に比べて、日本の子供の自己肯定感は低い
こちらのグラフをご覧ください。
高校生に対して「ダメな人間だと思うことがあるか?」と聞いた質問の回答を国際比較したものです(単位:%)。
「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した割合が最も少ない韓国と比較すると約2倍の開きがあります。
ただ一方で嬉しいニュースもあります。
文部科学省が実施した「全国学力・学習状況調査」では、小学生に対して「自分には、よいところがあると思いますか?」と質問しています。
結果を見てみると、年を経るごとに「当てはまる(=自分には良いところがある)」と回答した子供の割合が増えているのです。
- 2007年:29.5%
- 2012年:32.6%
- 2015年:36.3%
- 2018年:41.2%
自己肯定感が徐々に上がっている理由は複数考察されています。
例えばアクティブラーニングなどで、子供が自分の個性や意見を表現したり相互作用的なやりとりが増えたことなどが挙げられています。
*アクティブラーニングについてはこちらの記事で詳しく解説しています
家庭でのアクティブラーニングが子供の非認知能力を伸ばす!【具体的な方法を3つ紹介】
子供の自己肯定感が低い6つの根本的原因と対策
「子供の自己肯定感は徐々に高くなってきている」と書きました。
ただ、海外と比較すると日本の子供の自己肯定感は依然低いままです。
本記事では、子供の自己肯定感が低い6つの原因と具体的な対応策を紹介します。
なるべく根本的、つまりそれを解決すれば他の問題も解決する可能性が高い原因を紹介します。
先に結論ですが、6つの原因と対策の要点を図にまとめたのでご覧ください。
教育者が自己肯定感について科学的根拠に基づく情報を知らない
『「学力」の経済学』で指摘されていますが、日本では科学的根拠に基づいて教育を行う習慣がまだ根付いていません。
主に学校現場の文脈で言われることが多いですが、家庭も然りです。
そもそも、日本の大人は優秀なのですがデータリテラシーは低く、例えば「情報の発信者を特定でき、その信頼性を判断することができるか」という質問に「非常に当てはまる・当てはまる」と回答した人は50%以下です。
*「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査研究」(2020年)
かつ、2017年の国民読書実態調査によると、年に1冊も本を読まない成人が4割。
教育や子育てについて確かなエビデンスに基づいた情報を体系的に学ぼうと思うと読書は欠かせないのですが、それを実践している人も限られているのが現状です。
【対策】エビデンスベースのおすすめ本2冊
読書に触れたことで察している方も多いかと思いますが、ここでの対策は本を読むことです。
もちろん、「本を読むこと」というのは教育や子育てについてエビデンスベースの情報を得るためのわかりやすい手段としてあげただけなので、例えば論文を読む、エビデンスを重視する専門家に話を聞きに行く、などもアリです。
「子育てや教育について学ぼう!」と思った際によくあるのが、「東大生を4人育てたスーパーおばあちゃんの個人的体験」が書かれた記事やTV番組を見るパターンです。
個人的体験が役に立つことも確かにあるのですが、「再現性」に乏しいのです。
要するに、役に立つ”確率が低い”のです。
おそらく東大育成おばあちゃんが育てた子供とあなたが接している子供とでは、周囲の環境が異なるでしょう。
周囲の環境とは、
・居住地
・親の年収や職業、学歴
・付き合っている友達の性格
など子供を取り囲むもの全てです。
上記のように環境が異なるので、拠り所にするべきは多くの(数万人以上単位の)研究で有効だと示された考え方や手法なのです。
それを試した上で、「うちの子向けにカスタマイズするとこうかな」というオリジナリティーを加えるのは良いでしょう。
エビデンスから始めるのです。
ここではおすすめの書籍を2冊紹介します。
1冊目は、教育経済学者である中室牧子氏が書いた『「学力」の経済学』です。
詳しくはこちら記事で解説していますが、子育てをする際によく出てくる疑問(子供をご褒美で釣っていいのか?など)に対して科学的根拠を元にした知識を得ることができます。
2冊目は、ジャーナリストのポール・タフ氏の著書です。
本記事でも紹介した「非認知能力」の必要性及び、非認知能力の各スキルの伸ばし方や子供の成長に必要な基礎的な要素の構築方法を科学的根拠をもとに知ることができます。
*『私たちは子供に何ができるのか』についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。
親の自己肯定感が低い
2つ目の原因は、親の自己肯定感が低いことです。
高校生の自己肯定感についてのデータを紹介しましたが、29歳までの大人を対象にした調査でも、同様の結果が出ています。
具体的には、「私は、自分自身に満足している」という項目について「そう思う」と回答した割合は下記の通りでした。
- アメリカ:57.9%
- フランス:42.3%
- イギリス:42.0%
- 韓国:36.3%
- ドイツ:33.0%
- スウェーデン:30.8%
- 日本:10.4%
*我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (内閣府、平成30年度、対象者13歳〜29歳の男女)
調査対象国の中で日本は最下位、6位のスウェーデンの1/3という結果です。
このように、少し年齢を上げた調査でも自己肯定感が低い日本は、「親子間での負のループ」が発生している可能性あります。
「親子間での負のループ」とは以下のようなループです。
- 親の自己肯定感が低い
- その親が子供を育てる
- 自己肯定感の低い親に育てられることで、子供の自己肯定感も低くなる
- その子供が自己肯定感が低いまま大人になり、親になる
- 自己肯定感の低い親が子供を育て・・・・・
実際、一般社団法人セルフエスティーム普及協会によると、自己肯定感の低い親は子供に過度に期待し、子供がその期待に応えられないと、無意識に子供の自己肯定感を下げる言動を取る確率が高いそうです。
親の自己肯定感の低さが、子どもへの過度の期待を引き起こす(日本エルフエスティーム普及協会)
どこかで親の自己肯定感を高めて、「親子間での負のループ」を断ち切る必要があるのです。
【対策】ジャーナリングで親の自己肯定感を高める
では、どうすれば親の自己肯定感を高めることができるのでしょうか?
おすすめの方法が「ジャーナリング」です。
ジャーナリングは、ノートに自分の思考をただただ書き連ねていく手法です。
メンタルケアやマインドフルネスなどの文脈で使われることが多いことも特徴です。
具体的には特定のお題(「今日うまくいったこと」など)を決め、20~30分間ペンを止めずに思い浮かんだ言葉や文章をそのまま書きます。
Pennebakerが行った実験(1997)では、ストレスを感じる出来事を経験した人に対して20~30分ジャーナリングを行わせたところ、抑うつ症状が減少し免疫系が改善したそうです。
おすすめのお題を書いておくので、是非実践してみてください。
- 今日できた小さいことは?
- 今週気づいた子供の嬉しい成長は?
- 自分の好きなところは?
- 最近笑ったことは?
- 家族の素敵な思い出は?
最初は全然書けないかも知れませんが、継続していると徐々に書けるようになっていきます。
*自己肯定感とジャーナリングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
自己肯定感と自己肯定感、それぞれを徹底解説【定義、種類、高める方法など】
アタッチメントが不足している
子供の自己肯定感が低くなる3つ目の理由は、アタッチメント不足です。
アタッチメントは日本語では愛着と訳され、情緒的な結びつきを意味します。
従って、親子間のアタッチメントは、親と子供の間の情緒的・感情的なつながりを指します。
アタッチメントの重要性を示唆する研究としては、1986年に西インド諸島大学が129人の乳幼児とその家族に教育的介入を行い、その後30年間に渡って子供の成長を記録したものがあります。
上記の研究で子供にポジティブな成長をもたらした教育的介入は、「もっと多くの時間、子供と一緒に遊ぶように」というアドバイスだったそうです。
*西インド諸島大学の研究はこちらの記事でより詳しく説明しています。
先ほども紹介した書籍、『私たちは子どもに何ができるのか HELPING CHILDREN SUCCEED』では、アタッチメント形成のために特に幼い時(できれば生まれて12ヶ月以内)の子供とのやりとりを増やすことを推奨しています。
*アタッチメントについてはこちらの記事で詳しく解説しています
子どもとの間にアタッチメントを形成する方法を4ステップで解説【今日から使える!】
また、アメリカの団体、ターンアラウンド・フォー・チルドレンが提唱した「学習のための積み木」でも、アタッチメントはその他の非認知能力の基礎を成す要素だとされています。
上記のようにアタッチメント形成のためには「子供とのやりとりの量」「子供と過ごす時間」が重要ですが、現状日本ではそれが不足しています。
厚生労働省が実施した「全国家庭児童調査」(2014年)によると、毎日家族揃って夕食をとる家庭は26.4%、週に3日以下しか家族揃っての食事をとらない家庭が53.5%
と半数を超えています。
【対策】週5日以上、家族揃っての食事を
アタッチメント形成の方法と書くと難しそうですが、解決策は至ってシンプルで西インド諸島大学の介入実験で最も有効だったアドバイスと同じです。
「もっと子供と一緒に遊ぶように」、これに尽きるのです。
“遊ぶこと”は子供と過ごす一つの形態なので、実際には遊び以外でも構いません。
おすすめは、家族揃っての食事です。
ハーバード大学医学部のアン・フィシェル教授は、親が子供と一緒にできる最も重要なことは「子供と一緒に夕食を食べること」だと述べています。
お金をかけてプログラミングスクールに通わせても、それにより家族揃っての夕食の回数が減るなら逆効果です。
1日3食だと、1週間では21回家族揃って食事をするチャンスがあります。
あなたの家庭はどうでしょうか?
様々な研究で、”週5日以上”家族揃って夕食をとることで、
・うつ病発症率低下
・ネットいじめに強くなる
・学業成績改善
など良い効果が得られることが分かっています。
*ハーバード大、マギル大など
*週5日以上家族揃って夕食を食べることの効果は、こちらの記事でより詳しく解説しています。
夕食だけで週5日を確保することが難しいのであれば朝食、もしくは今はリモートワークをされている方もいらっしゃると思うので昼食の時間を使ってみてください。
仕事で夕食の時間までに帰ることが難しい場合は、子供が寝る前に10分でもリビングで家族揃って話す時間をとってあげてください。
大事なことは、「子供にかけるお金」よりも「子供と顔を合わせて話す時間」です。
*子どもの非認知能力を伸ばす6つの遊びについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください
子どもの非認知能力を鍛える遊び6つを紹介【今日から実践可能】
個性を潰す教育
「個性を潰す教育」も、子供の自己肯定感を低くする要因です。
「個性を潰す教育」と言うと難しいですが例えば、
・教育機関で、皆と同じことを求める
・家庭で他の子供の成長と自分の子供の成長を比べる
などです。
言わずもがなですが、子供が持って生まれた能力や育つ環境は人それぞれです。
例えば親の年収一つとっても、同じクラス内でばらつきがありますよね?
そのように前提が異なるにも関わらず他の子供と同じような成長を求め画一的な教育を行うと子供は人格否定をされていると感じ、自己肯定感が低くなります。
行き過ぎたものだと、「みんなで手を繋いでゴールする運動会」がありますが、それを導入した学校で育った子供は他人への配慮が欠ける大人に育つ確率が高かったそうです(『「学力」の経済学』より)。
*画一的な教育の問題点はこちらの記事でより詳しく解説しています。
【対策】オルタナティブ教育”的”な関わりを導入
「個性を潰す画一的な教育」の対応馬として近年注目されているのが「オルタナティブ教育」です。
オルタナティブ教育とは、伝統的な学校の代替となる教育手法の総称で、例えばモンテッソーリ教育、アンスクーリングなどがあります。
オルタナティブ教育は、規定のカリキュラムに捉われず子供の熱意や個性を元にしてプログラムを組む点に特徴があります。
やや乱暴な例ですが、「算数が重要だから算数を教える」のではなく、「子供が興味をもったYouTuberを題材にしながら自分で配信をやらせ分析させてみて、数字を学ぶ重要性に”気づかせる”」のです。
*オルタナティブ教育や様々なオルタナティブ教育の種類をこちらの記事で解説しています
とはいえ、実際にオルタナティブ・スクールに通おうとすると、費用や卒業資格などの問題が発生します。
そこで家庭で導入していただきたいのが、普段の子供とのコミュニケーションにオルタナティブ教育”的な要素”を組み込むことです。
オルタナティブ教育”的な要素”とは先述したように、子供の「熱意」「意志」を元にした子供との関わりです。
要するに、押しつけを辞めて子供に選択権を渡すのです。
簡単な例だと、幼稚園に履いて行く靴を選ぶシーンなどが考えられます。
雨が降っている時。一般的には、親が子供に「今日は雨が降っているから長靴にしようね」と伝え長靴を履かせることが多いと思います。
この場面で子供に選択権を与えるとするなら、「◯◯くん/ちゃん、今日は雨が降っているね。靴が3つあるけどれを履いたらいいと思う?」と問いかけることが考えられます。
「雨なのに子供が長靴以外を選んで靴下がビシャビシャになったらどうするんだ?」という反論もあると思います。
ただ、それでいいのです。
・大きな外傷を負う可能性がある
・命に関わること
・他人に大きな迷惑をかける行為
などでなければ、自己選択の結果被る失敗まで味合わせてあげてください。
そして、「あ〜、普通の靴だったから靴下濡れちゃったね!ドンマイ!次から雨の時はどうしよっか?」と失敗経験に問いを組み合わせて学びに変えてあげてください。
子供の自己認識不足
5つ目は、子供の自己認識不足です。
「自己認識」とは文字通り、自分自信について、特に自分の内面について把握することです。
そんな自己認識は自己肯定感と強く関連しています。
鳥取看護大学・鳥取大学は、188名の大学1,2年生を対象に意識調査を実施し、自己意識・自己認識のスコアが高いと自己肯定感のスコアが高くなることを明らかにしました。
*「自己肯定感と自己のパーソナリティに対する意識との関係について : ー短縮版ビッグファイブ尺度に基づく検討ー」(鳥取看護大学・鳥取大学研究紀要、2018年)
自分についての多面的な要素を知ることを「自己認識の強化」と言いますが、子供の自己認識を強化してあげることで思いがけない自分の良さを知ったり、反対に自分について分からない部分が減って安心したりします。
それらの結果、自己肯定感が高まっていくのです。
【対策】「なんで?」「それで?」で子供の自己認識を強化
では、具体的にどうすれば子供の自己認識を強化し、自己肯定感を高めることができるのでしょうか?
自己認識を強化するとはすなわち、自分自身についての思考を進めることです。
ただ、幼い子供が意識的に自分自身についての考えを深めることは難しいので、大人のサポートが必要です。
具体的には、「問い」を使って子供の思考を進めてあげるのです。
さらに具体的には、「なんで?」「それで?」という質問が有効です。
「なんで?」は、「思考を”深掘る”質問」です。
例えば、子供が夕食の時間に「僕/私〇〇が好きなんだ!」と言ったとしましょう。
そのような場面が「なんで?」の使い時です。
「xxくん/ちゃんは◯◯が好きなんだ!」と子供の言葉を繰り返した後に、「“なんで”、◯◯が好きなの?」と理由を聞いてあげましょう。
それにより子供は、自分が好きなものに対しての思考を深ぼることができます。
一方、「それで?」は「思考を”進める”質問」です。
「思考を”進める”」と言うと難しいですが、子供の思考が止まりがちな部分に道を作ってあげて先に進めるイメージです。
例えば先ほど、子供から好きなものを話した際に「なんで?」という質問をしましたね?
そこで子供が「▲▲だから!」と答えたとしましょう。
さらに思考を深掘ろうと、「なんで?」と聞くと尋問のようになってしまうので、「それで?」という質問の出番です。
具体的には、「うんうん、”それでそれで”??」という様に相槌と一緒に思考をさらに先に進めてあげましょう。
*「なんで?」「それで?」という質問をより使いこなしたい方にはこちらの書籍がおすすめです
子供が過度なストレスを抱えている
最後に紹介する原因は、過度なストレスです。
コロナ禍により子供が感じるストレスが増しています。
例えば、「コロナ×こどもアンケート第4回調査」(国立成育医療研究センター)では、小学生の子供を持つ保護者にストレスに関する質問をしています。
その結果、
・「コロナのことを考えると嫌な気持ちになる」
・「すぐにイライラする」
・「最近集中できない」
という質問に対して「そのようなことがあった」と回答した割合は下記の通りだったそうです。
- 「コロナのことを考えると嫌な気持ちになるようだ」:23%
- 「すぐにイライラするようだ」:36%
- 「最近、集中できないようだ」:32%
*「ときどきあった(週に1,2回)」「かなりあった(週に3,4回)」「ほとんどずっとあった(ほぼ毎日)」の合計
*子供自身ではなく、その子供を観察している保護者が回答する形式
そして、『私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む』では、子供の発達を最も左右するものはストレスだと複数の研究を元に語られています。
特に幼い時期に慢性的なストレスを受けた子供は、失望や怒りへの反応を抑えることに困難を覚え、小さな失敗を圧倒的な敗北のように感じたり、少し雑に扱われただけど他者と対立したりする傾向が強くなるそうです。
【対策】自然体験、または自然”的”体験
そんな子供のストレスを軽減するために有効なことが、自然体験です。
自然体験とはその名の通り、キャンプをしたり、緑が多い公園を歩いたりなど自然と触れ合うような体験を指します。
そんな自然体験が、子供のストレスを軽減してくれます。
『最高の体調』では、自然と触れ合うことで副交感神経が活性化し日中に溜まった疲れやダメージから回復することができると書かれています。
また、「体験活動と自己肯定感の関係」(国立青少年教育振興機構)では、「アウトドア活動や虫捕り、農作業など自然と触れ合う機会が多い若者は自尊感情が強い傾向がある」と報告されています。
ただ、このコロナの中子供を外に連れ出すことに抵抗がある方も多いでしょう。
そんな方におすすめなのが、自然”的”体験です。
自然”的”体験とは、自然がある場所に移動するのではなく家の中に自然を再現し、間接的に子供が自然を味わえるようにすることです。
先ほど紹介した『最高の体調』では、下記の様な方法でも自然体験と同じような効果が得られると書かれています。
①デジタルの自然
アムステルダム自由大学の研究によると、自然音やYouTubeで4Kの自然映像を流しておくだけでリラックス効果を得られるそうです。
例えば、世界中の風景を大画面で映し続けてくれるAtmoph windowはガジェット系YouTuberなどの間で評判です。
子供が過ごす空間で自然音を流したり、大きなディスプレイを用意して綺麗な自然の映像を流しておくのはいかがでしょうか?
②観葉植物
より手軽に設置できるのが、観葉植物です。
インテリアとして使われる観葉植物にもリラックス効果があります。
リビングなど、子供が意識しなくても目に入る場所に設置するのが良いでしょう。
もちろん、大人も観葉植物を見ることでストレス軽減効果を得ることができます。
ここまで紹介した、子供の自己肯定感が低くなる6つの根本的原因と対策をまとめたのでご覧ください。
子どもの自己効力感を高める方法はこちらの解説をしているのであわせてご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
・子供の自己肯定感を高める重要性
・自己肯定感の計測方法
・子供の自己肯定感が低い6つの原因と対策
をご理解いただけたでしょうか?
科学的根拠に基づく方法でお子さんの自己肯定感を高めていっていただければ幸いです。
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