僕はこの本を読み終わった後、どんなに自己分析をしてもOB訪問をしても「普通で、一般論を並べただけ」のESしか書けていなかった就職活動時代の自分に読ませてあげたいな、と思いました。
本書は、文章を「書いている時」ではなく「書く前」こそが重要だということに気づかせてくれました(このポイントはESを上で最重要)。
② 文章を書いているときは情熱的に、ただしルールは忘れないで!
この本を読んだ後、就職活動時代の自分を思い出しました。
今でもほめてあげたいくらい真面目で、部活動をやりながら隙間時間は全て就職活動に捧げる、そんな就活生でした。
ただ、ESを書くのが苦手でした。
どんなに時間をかけて自己分析をやっても、文字数に制限があるESに落とし込むと、ググれば出てくるようなありふれた文章になってしまうのです。
今思い出すとその原因は、「文章を書く前」にあったと思います。本書を読んでそれが分かりました。
そんな本書から、文章を書く前に考えるべきことを3つ紹介します。
「主張は何か」を明確に
当時僕は、検索して出てくる例文に倣ってESを書いていました。
しかし、例文と同じような文体・ロジックで書こうとするがあまり、自分の意見・主張が薄かったのです。
本書では、文章で伝えるべきことについて下記のように書かれています。
“自分はこう思っている、自分はこんな提案をしている、自分はあなたにこうしてほしい、といった”自分の意見”こそ、最大の伝えるべきことである。”
そう、文書を書く限り、そこには明確な自分の意見が必要なのです。
また、主張を書く際は、自分の中で「読み手にどうなって欲しいか?」まで考える必要があります。誰かに自分の主張を伝え、何かしらの行動をしてほしいと思うからこそ、僕達は文章を書くのです。
この、「主張を明確にする」という行為は、今でも難しいなと思っています。
なぜなら、僕達には無数に伝えたいことがあるからです。
だからこそ文章を書くときは、「何を書くか」でなはく、「何を書かないか?」を意識すべきです。
本書では、この考えを”引き算の発想”と呼んでいます。引き算の発想をすることで、本当に伝えたいことが明確になり、「これだけは消したくない!」という自分のこだわりにも気づくことができます。
自分の主張を伝える為に、「論理」を使う
自分の主張を伝えるべき、と書きましたが、自分の主張を殴り書きしても誰にも伝わりません。
なぜなら、自分の意見は完全な”主観”であり、”感情”を伴うものですが、文章という声も表情もないツールでは、”感情”は相手に伝わらないからです。
だからこそ、僕達は文章を書く際、自分の主張を「論理的」に伝える必要があります。
僕たちは、”感情”を伝えたいからこそ、”論理”を使うのです。”主観”を語るからこそ、”客観”を保つのです(僕がこの本で最も響いた言葉です) 。
「論理的に文章を書くことが必要」と書きましたが、「論理的である」とはどういう状態を指すのでしょうか?
本書では、下記のように述べられています。
・論理的=”論”が”理“にかなっている状態
・論=主張
・理=理由
・論理的である=自分の主張が確かな理由によって裏打ちされること
では、上記したような「自分の主張が確かな理由に裏付けられている状態」をどのように実現すればよいのでしょうか?
そこで必要になってくるのが、「主張・理由・事実」の全てを文章の中に正しく入れ込む、という技術です。例をあげましょう。
下記の文章は、「主張・理由・事実」がセットになっていないが故に論理的ではない文章です。
・大相撲の人気回復策として、ナイター制の導入を提案したい。なぜなら、プロ野球もナイター制をとっているからだ。
上記の文章には、「ナイター制を導入すべき」という主張と、「プロ野球もナイター制をとっている」という事実は含まれています。
ただし主張と事実を繋ぐ理由がありません。それを修正した文章が以下のものです。
・大相撲の人気回復策として、ナイター制の導入を提案したい(主張)。なぜなら、平日の昼間に取り組みを行っても、会場に足を運べるファンは限られるからだ(理由)。事実、プロ野球も平日開催のゲームはナイター制をとっている(事実)。
上記のように、”理由”が”主張”を支え、”事実”が”理由”を補強する構造が論理的な文章を書くために必要なのです。
読み手と「同じ目線」ではなく、「同じ椅子」に座る
文章を書く時、自分は文章を書く”書き手”になります。
そして、あらゆる文章には”読み手”がいます。
”書き手”は”読み手”をイメージして、その人がわかる言葉・表現で文章を書くべきです。
その際に注意しておきたいのは、「大勢に向けて書かない」ことです。
確かに、書き上げた文章をインターネットにアップしたり、ESにして企業に提出したりすれば、多くの人が自分の文章を読むことになります。
それでも、大勢の人に向けて文章を書くのは危険です。
大勢に向けて書くと伝えたい内容が不明確になり、結果的に誰向けでもない文章が出来上がります。
大衆に向けて書けば書くほど、「誰にも響かない文章」になっていくのです。
その際によく言われるのが、「読み手の目線に立つ」ということです。
しかし、それでも甘い、と本書は主張しています。
読み手に刺さる文章を書く為には、「読み手の目線に立つ」のではなく「読み手と同じ椅子に座る」ことが重要なのです。
読み手と同じ椅子とは、「読み手がその文章を読んだ際に感じる全て」を想像するということです。
読み手は、最後まで文章を読んでくれるのか?何が知りたいのか?そもそもなぜそれを知りたいんのか?等を具体的にイメージする必要があります。
とはいえ、これ結構難しいですよね?(笑)
本書でも上記のことを難しい、と認めつつ、たった2種類だけ「同じ椅子に座れる」人がいるそうです。
特に10年前の自分に向けて書くときは、「もしこれをあの時に知っていたら!!」と思わせる有益な情報を書くべきです。
そうすることで、「伝えたい!」という自分の想いが強くなり、適切な言葉や表現も選びやすくなります。
ここまで述べたように、「10年前の自分」または「特定の”あの人”」に絞り、「伝えたい思い」を全面に出して情熱的に文章を書いていくことは非常に重要です。
しかし、忘れてはいけないのが、「伝わらない文章を書いてもしかたない」ということです。
本パートでは、人に伝わる文章にする為のルールを紹介します。
文章の視覚的リズムに気を付ける
文章は本来読むものですが、現代において文章は「視るもの」とも言えます。
例えばブログを見る時、あまりにも文字が多かったり英語ばかりだったりすると、あなたはおそらく読む前にページを閉じるでしょう。
これが、「文章を読む前に視る」ということです。
・一行に一回、句読点を入れる(横幅の視覚的圧迫感を低減)
・最大5行を目途に改行(縦幅の視覚的圧迫感を低減)
・極力、文章の中で引き立てたい部分にのみ漢字を使う(字面そのものが持つ圧迫感を低減)
起”転”承結で文章を書く
文章では、人の注意を惹く必要があります。
その為には、一般的に言われる起承転結ではなく、”転”を”起”の後に持ってきた、起”転”承結の形が有効です。
具体的には、”起”で一般論を述べ、”転”でその一般論と真逆の”自分の主張”を書くのです。
そうして、一般論を否定することで、読み手に「どんな議論が展開されるんだ?」という期待を抱かせます。
また、上記の形をとる際のポイントは”起“です。
自分が主張したいことと真逆の一般論をいかに探してこれるかに気を配りましょう。
高校の時に国語が苦手だった僕は、その苦手意識を社会人まで引きずり、特に「文章を書くこと」が億劫になっていました。
しかし、本書を読んで文章を書くことが少しずつ面白くなってきました。
文章は書く最中よりも、書く「前」が重要。
本書を読んでそのことを痛感し、何よりも自分の主張を持ち、それを文章で明確に示す重要性を感じました。
これから就職活動を迎えるよ!という方はこの本を読んで、ES全通を目指してください!
また、本書を読み、文章術についてより詳しく知りたいと思った方はこちらの記事を読んでみてください。この記事では、力強い文章を書く為の「パワー・ライティング」というスキルについて説明しています。
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